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主語は「私」。まず「自分がどうしたいのか」が大切――MIRAIS

MIRAIS(ミライズ)は、「『育休』を変革する──育休を通じて自己変革を推進することで、育休の概念“なんとなく過ごす育休”を変革する」をミッションに掲げる育休コミュニティ。全国各地、そして海外からも産休・育休取得者たちが参加し、それぞれがキャリア、子育て、自身の成長などジャンルを問わず育休中のテーマを設定し、“未来にこうありたい自分”の姿をかたちにするために活動しています。

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「新しい働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。本記事は、過去の放送の中から、育休コミュニティ「MIRAIS(ミライズ)」の取り組みをご紹介します。

ライフステージの変化の過程を支えるために

子育ての不安、社会から孤立する不安、そして今後のキャリアへの不安……漠然とした不安を抱えながらも、慌ただしく育児休業に入り、目の前のことに追われているうちに、時間が過ぎていく……。

そんな「なんとなく過ごす育休」をなくそう、と設立されたMIRAISは、代表の栗林真由美さんご自身の経験を踏まえて生まれたコミュニティ。栗林さんは第一子を出産し、育休を経て、仕事に復帰。第二子出産後の育休中にMIRAISを起ち上げました。

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MIRAIS代表・栗林真由美さん

1回目の育休を自分なりのテーマを持って有意義に過ごした栗林さん。ところが、4年後に取得した2回目の育休では、世の中の育休に関する風景が4年前とほぼ変わっていないことに驚いたのだそうです。

「育休期間をなんとなく過ごして、なんとなく復帰して、(思っていたように仕事に取り組むことができない自分に)こんなはずじゃなかった……という(職場の)景色が、ほぼ変わっていなかったのは衝撃でした」

そこで栗林さんは、自分だけでなく、もっと多くの人たちにとって育休が有意義なものにできたら良いのではないかと考え、SNSでコミュニティの告知を投稿、その投稿はどんどんシェアされていき、MIRAISの立ち上げへとつながりました。

MIRAISが設立されたのは、2018年8月。そのメンバー全員が、産休・育休取得中でした。仕事の業種、住んでいる場所、経歴はさまざまで、普段はなかなか出会えないようなメンバーと出会えることがコミュニティの特徴。MIRAISの活動期間は、毎年4〜9月と10〜翌3月の半年間(半年で1期)で、現在は第7期のメンバーが活動中なのだそうです。

その活動は多彩で、例えば、①会社の部署のようなチーム活動、②手帳を作ったり、本を出版したり、産休・育休者向けのウェブメディアをつくるといったMIRAISの公式プロジェクト、③ゲストを招いてのトークイベント……などが中心になります。これら3つに加え、最近では、企業とのコラボレーション活動も増えてきているそうです。

会社員だけでなく、フリーランサーや経営者など、多様なメンバーがつながり、会社の中では当たり前にあった「機会」「役割」「仲間」を育休中にも提供しているMIRAIS。まさに、ライフステージの変化の過程を支える価値あるコミュニティだと言えそうです。

育休は、自分と向き合うための時間!?

「なんとなく過ごす育休」をなくすために活動するMIRAIS。その活動の主軸となるのは、育休中の「テーマ設定」と、テーマに則した“実践”です。例えば、「復職後、自分らしく働くための準備期間」というテーマ設定をし、パラレルキャリアに向けた土台づくりをした人や、「脱“べき”論」というテーマ設定をし、より柔軟な思考ができるように自分を変えていこうとした人などがいます。

テーマは、1カ月かけて決めていくのだそうです。テーマ設定に1カ月かける意味、その作業で見えてくることについて、代表の栗林さんはこのように語ります。

「自分の育休テーマを決めるということは、結局、自分と向き合うことなんです。MIRAISには、これまで仕事が忙しいあまり、自分と向き合ってこなかった人が多いんですね。それが1カ月かけてテーマを考えることによって、“私ってこういう人だったんだ”という気付きを得たり、テーマ案に対して他のメンバーから意見をもらったりすることで、育休に対する異なった視点や考えに気付いたりすることもあります。

仲間と一緒に、なぜそうしたいのか、それが本当にやりたいことなのかを深掘りしながらブラッシュアップさせる育休テーマ。

仲間からの刺激や励ましによって完成したテーマは、「育休テーマ発表会」で発表されます。「発表会」で各メンバーの発表を聞くことによってさらなる刺激を受け、自ら発表することでテーマに取り組む覚悟が決まります。そして、テーマの実践内容について毎月毎月振り返りながら、仲間からフィードバックをもらうことで、テーマに沿った活動がどんどん加速していく……。そんな仕組みになっています。

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復職前に「働く」を体験できる

育休テーマの設定・実践以外に、MIRAISというコミュニティを運営していく“チーム活動”があります。

これは、子育てという時間的制約がある中で、復職前に働くことを体験できるというもので、現在活動している7期のメンバーは、「イベントチーム」「広報チーム」「会計チーム」など、全部で10のチームに分かれて、自分たちでコミュニティを運営しているそうです。

「チーム=会社の部署のようなもの」だそうですが、会社と唯一違うのは“誰でもチャレンジできるところ”。「会社では経理をやっていたけど、広報をやってみたい」「いつもは営業をやっているけれど、法務のことも知ってみたい」……動機はなんだって構いません。失敗してもいいから未経験のことにチャレンジできるところ、復帰前に仲間と物事を進めていく上での達成感や楽しさを味わえるところがチーム活動のミソです。

このようなコミュニティ運営の役割を担うこととは別に、目標に向けて期間限定で構成される「プロジェクト活動」もあります。

例えば、育休者向けの手帳を作り上げた「『MIRAIS PLANNER』プロジェクト」、育休中の生活の戸惑いに寄り添うウェブサイトを運営する「『育休ガイド IKUMICHI』プロジェクト」、自分だけのキャッチコピー「セルフラベル」を考える「セルフラベルプロジェクト」や、「MIRAIS周年プロジェクト」など、メンバーの「やってみたい!」をお互い後押ししながら、さまざまなプロジェクトがかたちになっているそうです。

すべては子どもの未来のために

MIRAISには、これまでに700人以上の産休・育休取得者が参加。これまでの育休の概念を変えるさまざまな活動を展開しています。

MIRAIS参加者へのアンケートでは、実に94%の人が、復職後にその経験が生きていると回答。家から一歩も出なくても仲間とチームになって活動できたこと、毎回育休テーマに沿って“振り返り”を行うことで、自分の中に“軸”が確立できたことなどが大きな財産になっているようです。

実際にMIRAISへの参加後、職場と交渉して希望の部署に異動した人もいれば、時短勤務しながら昇進した人、本当に自分のやりたいことに気付き、転職を果たした人もいるとのこと。

以上が、MIRAISに参加することで得られることなのですが、では改めて“なんとなく”ではない産休・育休……その過ごし方がなぜ大事なのでしょうか? 栗林さんはこのように語ります。

「産休・育休に入る前と、入った後では180度世界が変わるんですよね。産休前は時間があればあるだけ働く、好きなだけ仕事ができていたのに、復帰後は、子育てなどによる時間的制約ができて仕事が楽しくなくなってしまう。結果、マミートラックに陥ってしまったりするんです。でも、子どもは親を見て育つので、生き生きしていない親を見て育つのは、多かれ少なかれ影響があると思います。だから子どもを産んでからこそ、自分自身が生き生き働くこと、生き生きしていることは、子どもの未来のためにも必要なことだと思うんです。子どものその後の働き方や生き方に影響が出る大事な期間であるからこそ、産休・育休期間は無駄に過ごしてほしくないと思うんです」

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育休コミュニティ・MIRAISのお話から導き出す「WORK SHIFT」のヒントは・・・『主語は「私」。まず「自分がどうしたいのか」が大切』でした。

人によって育休の捉え方も異なり、産休・育休制度や産休・育休者への対応も会社によってさまざまです。だからこそ、子どもを主語にするのではなく、まず「自分がどうしたいのか」が大切なのではないでしょうか。

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■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

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