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どこでも、誰とでも働ける「GIVE」を続ける働き方

未来の物事について提言などを行うフューチャリストとして、書籍の執筆や講演活動、企業のアドバイザーなどで活躍されている、尾原和啓(おばら・かずひろ)さん。尾原さんは、京都大学大学院で人工知能を研究し、マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートさせました。

その後、NTTドコモ、Google、楽天などにおいて事業企画、投資、新規事業に従事し、さらに経済産業省対外通商政策委員、産業技術総合研究所人工知能センターアドバイザーなども歴任。2015年からは、シンガポールやインドネシア・バリ島と日本をベースに、人と事業を紡ぐ「カタリスト(触媒)」として活動されています。

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内でさまざまな企業や個人が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。本記事では、過去の放送の中から、転職すること14回、世界を舞台に“自由に”働くフューチャリスト・尾原和啓さんの働き方に注目します。

相手に「GIVE」することで違いを知る

転職の回数14回、さまざまな会社で働きながらステップアップを繰り返してきた尾原さん。「転職」について、どのように考えているのでしょうか。

「今は、定年まで1つの会社で働くという意識から転職が当たり前になっている時代です。人生という大きなプロジェクトの中で、会社もプロジェクトの1つとしてみると、そのプロジェクトごとに自分を変化、成長させていくことが必要であり、そのためにはまず、違いを知るための『GIVE』が大切です。相手に『GIVE』することで違いを知り、そこを埋めていくことが成長につながると思うんです」

_DR28889 要クレジット-撮影/干川修

尾原和啓さん(撮影/干川修)

転職の達人とも言える尾原さん。新しい会社に移ったときに常にやってきたこと、心掛けていたことは、その会社の中で、誰もが嫌がったり、放置されていたりした地味な仕事に自ら取り組んだこと。転職者には新規プロジェクトのようなきらびやかなことを期待されますが、そうした地味な仕事をすることで、その会社の“癖”が分かり、また周りからの信用を得られるという利点もあるそうです。

業務の中には、必ず誰かが対応しなければ、組織として十分に機能しないものがありますが、そんな誰もやりたがらない仕事、見えない雑務に気付けること、率先して行うことは、転職者にとって大きな価値を生むのではないでしょうか。

強みの等価交換と、失敗の考え方

尾原さんが、英語での仕事を始めたのは37歳になってからと言います。これも転職したことがキッカケだそうですが、尾原さんは、会社を変えていくことや、その中で新たな挑戦をしていくことで“強みの等価交換”をしているのだとか。

今までの強みを持って会社に貢献し、次の会社で新しい強みを増やす。最初は1つの強みだったものが、次の会社で新たな人と仕事に出会い、強みが2つになる。2つの強みで次の会社に挑戦することで、強みは4つに増えていく……。そんなふうにして、自分の強みを増やしていったそうです。

そうした方法で自分を成長させてきた尾原さんですが、その中で“失敗”はなかったのでしょうか。「失敗」について、こんな考えを語ってくれました。

「今までは正解が分かっていて、できるだけ失敗しないことが大事だった時代ですが、今は変化の時代です。新しい問いにいち早くたどり着くためには、たくさんのチャレンジをしてたくさんの失敗の中から学ぶ必要がある。そんな失敗の中で、できる仲間は絆も深い。多様な失敗を繰り返すことが大事だと思いますね」

多様な失敗を乗り越える中で、仲間も生まれていく。失敗も1つの変化と捉えるマインド、そこから学べる姿勢が大切になりそうですね。

_DR28823 要クレジット-撮影/干川修

撮影/干川修

価値観をアップデートさせていく

インターネットをめぐる環境が進み、LCC(格安航空会社)によって移動コストも低くなった2015年。尾原さんは、日本からシンガポールとインドネシアのバリ島に拠点を移します。

どこでも働けるなら、心地良い環境でクリエイティビティを発揮しやすい場所で暮らしたい。そんな思いから拠点を移し、リアルとリモートを組み合わせて働いてきました。そんな尾原さんが考える、リアルとリモートの良さとはどんなところなのでしょうか?

尾原さん曰く、目的が決まっているときにはリモートが効率的。一方、非目的な偶然の出会いが起こりやすいのはリアル。この組み合わせが大事ということでした。
コロナ禍の今は、“非目的で偶然”の出会いを、どのようにリモートの中に持ち込んでいくのかが大事だと話します。そのためには、“友達が友達を呼んでくる”というようなカタチで、どんどん偶然の出会いが連鎖するような、つながりを広げる “信頼の確変”が大切ということでした。

尾原さんは6年前、海外に拠点を移し、リアルとリモートで働き始めたとき、これからアップデートすべきなのは“テクノロジー”ではなく、人の“価値観”であると感じたとか。

「コロナ禍ではテレビのリモート出演が増えましたが、これも以前から可能だったのに価値観が邪魔して実現していなかった事例。このように新しいテクノロジーが使えないという理由は、使い手や企業の価値観が追い付いていない場合が多い。使い手側が、まだ無理じゃないか、と勝手に思っている価値観の壁を壊してみると、新しい選択肢が増えるはずです」

一人ひとりが「ポケモン」になれるような環境や文化

コロナ禍をきっかけに、多様になった働き方。
尾原さん自身も日本とシンガポールを拠点に、リアルとリモートを組み合わせながら働いていますが、そうした中で今後、企業と個人の関係性はどうなっていくのか伺ってみました。

「これからの変化の激しい時代は、組織の中の個人個人が“レーダー”になって、変化を捉えることが大事です。そしてトップダウンではなく、ボトムアップで正解をつくっていく。“組織と個人の関係性”と捉えるのではなく、“組織も個人の集合体”であることを前提に行動していくことが求められると思います」

世界を舞台に自由な働き方を実現しながらも、さまざまな企業から声が掛かる尾原さん。これからはどんな働き方を目指していくのかについて、「自分は世界中から呼ばれる『ポケモン』になりたいと思っています。今の時代、自分だけが築ける新しいチャンスはみんな持っている。これからの個人は、お互いがポケモンになり合って、必要な時に強みを出し合い、課題を乗り越えることが必要だと思います。そういう環境、文化を広げていきたいです」と語ってくれました。

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今回ご紹介したフューチャリスト・尾原和啓さんの働き方への取り組みから番組が導き出した「WORK SHIFT」のヒントは・・・『組織を超えた個人の“GIVE”で変化を乗り越えていこう!』でした。

「GIVE」することで会社に貢献し、次の会社では新しい強みを増やし、仲間も増やしていく。その「GIVE」を会社という組織の中だけにとどめてしまわないで、変化の時代を乗り越えていくことが必要なのではないでしょうか。

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■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

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