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幸せに働くことができる職場は、社会課題の解決につながる――アルファフードスタッフ

アルファフードスタッフ株式会社は、愛知県名古屋に本社を置き、オーガニック食材を中心に食品の輸入・製造・卸売を手がける企業です。砂糖の問屋として1925年に創業し、96年目となる現在、従業員数は約100人を数えます。

同社は、1980年代半ばから国産小麦の取り扱いを始めたことをきっかけに、次第に「安全・安心」を重視するようになりました。2001年に施行された法律(改正JAS法)によって、有機JASマーク認証を受けて、2006年より農薬や化学肥料を使わない「オーガニック食材」の取り扱いを本格的にスタートさせました。

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「新しい働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。本記事は、過去の放送の中から、「アルファフードスタッフ株式会社」の取り組みをご紹介します。

スタッフ一人ひとりの幸せがどこにあるのか、ということ

同社の従業員にとって、オーガニック食材を中心とした商品を取り扱っているという自覚が、働き方改革にも大きく影響を与えているそうです。アルファフードスタッフ常務取締役・浅井紀洋さんは、根底にある考え方としてこのように語ります。

「人にも環境にも優しい商品を取り扱うことで、良い社会をつくっていきたい。その前提として良い会社でありたい」

そのために、同社は「幸せに働くことができる職場」を目指しています。
アルファフードスタッフが「働き方改革」を始めたのは、2017年ごろに休日日数の増加に取り組んだことから。それまでは当番制で土曜出勤がありましたが、それを徐々に減らしていき、翌年には「完全週休2日」を実現させました。

浅井さんによると、働き方改革における決定的な出来事は、2019年に同社における課題を抽出するため全社員にアンケートを行い、多岐にわたる意見から145項目の課題が出たことでした。例えばノートPCの導入や通信環境、備品に関する課題の他、「報・連・相」などの情報伝達に関するもの、さらに「社内規定がどこにあるか分からない」といった、さまざまな課題が浮き彫りになったそうです。

こうした多くの課題に驚きつつも、なんとか改善に結び付けようと幹部メンバーで会議を重ね、課題のカテゴリー分けと優先順位を決めていったといいます。そして課題解決のため、どの部署が担当するのか、また部署を超えたプロジェクトチームをつくるのかを決めて、進めてきたそうです。

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アルファフードスタッフ株式会社 常務取締役・浅井紀洋さん

また、課題の中の一つに「育児休業」がありました。同社では、最初に女性が育児休業を取得したのが最近のことで、かつては育児休業をして出産後も働くという風土ではなかったとのこと。しかし5年ほど前から、それでは良くないとのことから、今では「取って当たり前」という雰囲気ができたそうです。2020年には男性社員の取得者も現れました。

浅井さんは、社内の課題解決を通して考え続けていることを、こう話します。

「会社として改善していく風土をいかにつくれるか、が大切だと思っています。本人の幸せがどこにあるのか、ということが重要。働き続けたいと思える会社にしたいですし、事業としても持続可能性を追求していきたいです。そうして、働くスタッフ一人ひとりの人生が豊かになり、それぞれの人生が持続可能な状態であってほしいと考えています」

部署を超えた情報共有で、プロジェクトチームが課題解決を推進

課題を一つひとつ改善しているアルファフードスタッフですが、そのハードルとなったことに「部署を超えた情報共有のあり方」がありました。

同社では、社内での情報共有にビジネスチャットツール「Slack(スラック)」を導入しています。チャットツールは、部署を超えた情報共有を実現するためにも役立っていて、「報・連・相」よりも「即時シェア」の文化になり、意思決定が早くなっているそうです。

しかし、チャットツールの全社導入には、非常に苦労したそうです。導入にあたっては年齢的な壁があったようですが、昨年の第1回目の緊急事態宣言をきっかけに、「リモートワークを始めるタイミングで一気に進めよう!」と導入に踏み切りました。いまでは、年齢に関係なく全員がSlackを使いこなしています。

さらに、「145の課題は必ずしも特定の部署のものではない」というところから、部署を横断した4~5人のプロジェクトチームを作り、コミュニケーションの活性化、健康経営の推進、大掃除の効率化や社内美化の推進、社内ネットワーク環境の改善など、課題一つひとつに取り組んでいます。例えば大掃除は、プロジェクトチーム「美化委員会」が全社に向けてチャットツールで役割分担をしたところ、これまで17時までかかっていた大掃除が、今では13時半に終わっているとのこと。

課題解決のためにプロジェクトチームを作ることで、みんなが「良かった!」「ありがとう!」となって、主体的になれる。そんな良い効果があるようです。

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地元の労働力を生かす、その先に

同社は2016年に工場を新設する際、あえて住宅街の中に作ったそうです。それは、地元の方を雇うため。アルファフードスタッフでは、こうした地元の労働力を生かす取り組みを進めているといいます。現在、最高齢は82歳女性。ドライフルーツの検品をしているそうで(オーガニック食材は農薬・化学肥料を使わない反面、虫が出るリスクがあるため)、浅井さんよりもずっと早く作業できるそうです。

地域との関わり合いについて、浅井さんは「地元の方が少しの時間からでも働いて、生活の中に仕事を組み入れてくれれば」と話します。そのため、従業員は働く時間をフレキシブルに選択できるといいます。

働く時間を「フレキシブルに」するという点では、コロナ禍で時差通勤もスタート。また新型コロナウイルス第一波の際は、営業を中心に在宅勤務できる人は在宅での業務となりました。それ以外の従業員も感染リスクを減らすため、午前7~11時までの間で出勤時間を決められるようにしたそうです。こうした対応は「時間を有効活用できる」「家族に合わせた働き方に生かせる」と好評で、いまでは恒常的な制度になっています。

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事業を推進することで社会課題の解決につながる

浅井さんによると、「幸せに働く土台は『健康』」だといいます。これが、今後の課題の一つであり、現在プロジェクトチームを作って取り組んでいることだそうです。コロナ禍で健康を意識する人が増えたため、健康管理・健康づくりを推進する「健康経営」を進めており、残業の削減などを実施。現在、経済産業省が認定する「健康経営優良法人」を目指しています。

「自分たちの幸せや、やりがいを感じながら業務をすることによって、業務が主体的・創造的なものになれば、お客さまの価値にもつながり、それが自社の収益にもつながる。そのようなサイクルをつくりながら、会社が発展することを考えています」

さらに、浅井さんはその先を見据えています。

「『私たちは食を通して環境と資源を考えます』という経営理念のもと、オーガニック製品を取り扱ってきました。改めて、オーガニック製品の取り扱いが、どう社会に貢献できるかを考える中でSDGsに結び付いたんです」

そこで、SDGsを学ぶ地元・名古屋の大学生をインターンとして受け入れ、役職を持つ従業員を対象に20時間以上におよぶヒアリングをしてもらったそう。その後、インターン生に客観的に評価してもらい、それを同社ウェブサイトで公開したそうです。

途中、「それだけでは足りない」と浅井さんは感じ、「これから何をするか?」を考えることも大事だと気付いたそうです。そして、フードロスの削減や健康に寄与する食材の取り扱いの推進などを盛り込んだ「サステナビリティ宣言」を策定。現在、それを事業に組み込みながら進めているといいます。

最後に浅井さんは、「事業を推進すると社会課題が解決していく」かたちを目指していると語ってくれました。

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アルファフードスタッフ株式会社の取り組みから導き出す「WORK SHIFT」のヒントは・・・『幸せに働くことができる職場は、社会課題の解決につながる』でした。

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■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

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