見出し画像

キーワードは「創造性」と「共感性」。人生100年時代の学び直しを考えてみる

リクルートで働くその道のプロが「仕事探し」や「学び方」「美容」や「食」といった様々なテーマの最新トレンドについて語るポッドキャスト番組『トレンドランナー』。第五話のテーマは「学び方の最新トレンド」。スタディサプリ教育AI研究所所長をゲストに迎え、「社会人の学び直し」について聞きました。

藤井:リクルートがお送りするポッドキャスト「トレンドランナー」。スタディサプリ教育AI研究所の小宮山利恵子さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。

小宮山:よろしくお願いします。

テクノロジーと教育を研究!スタディサプリ教育AI研究所とは?

藤井:まずはスタディサプリ教育AI研究所について教えてください。

小宮山:リクルートは5教科18科目が4万本以上の動画と共に学べる「スタディサプリ」というオンライン学習サービスを提供しているんですが、「スタディサプリ教育AI研究所」という研究機関もありまして、ここでは受講者の学習履歴を通じて一人ひとりの学び方に合った方法を分析・研究しています。

海外では「一人ひとりの習熟度に合った学び」というのは普通になっていて、日本でも受講している方が増えてきているんです。

画像1

藤井:その中で、小宮山さんはどんなお仕事をされているんですか?

小宮山:はい。私は、東京学芸大学で教員として教えるとともに、国内外のテクノロジーと教育の融合について研究を進めています。

藤井:では、「テクノロジー」と「教育」の絡み合った先に、どんな未来が待っているのか?とかいろいろ聞いていきたいですね。

八角:そうですね。今回のテーマは、「社会人の学び直し」です。

社長でも週10時間必要?学習時間の理想と現実

藤井:今の社会人にとって「学び直し」って大事だと思うんですが、どんな必須科目があるのでしょうか?

小宮山:そもそも「日本の社会人は学んでない」という調査結果が出ています。

国際機関のOECDが2012年に発表した「社会人の生涯学習率」と「社会人になってから学んだ割合・経験」が、日本はOECD加盟国中なんと最低という結果が出ています。

理由としては、日本は制度としての終身雇用制が、企業に長く残っていたので、一人ひとりが自発的に学ばなくても、会社が用意してくれたものを学んでおけば良かったということがあります。

藤井:…でも、海外では自分から学ばないと次のポジションが得られない、あるいは転職もなかなか難しいという点で、そもそも必要性があったということですね。

小宮山:はい。日本ではまだまだ一社で働くという方が多いのかなと思っています。

これからは、「昇進のための学び」が必要なんです。特に英語ですね。TOEICの得点を昇進の基準として設けている会社もあります。

藤井:そうですか。「昇進をするには英語が絶対必要だ」以外にも、「このポジションを取るためには英語以外に必要な科目がある」といったことが、海外では当たり前になっているので、社会人の学び直しが必然なんですね。避けられない…。

小宮山:未来予測学者のジェーン・マクゴニカルさんも「社長でも、週に10時間オンラインラーニングしないとその地位を保てない」というふうにおっしゃっています。

藤井:えっ、10時間以上!?

小宮山:そうですね、週10時間以上です。

AI時代に求められる創造力と共感力

藤井:それぐらい世界と日本の社会人には学びの差があるなかで、最近だと人間とAIとの関係性についての話題が注目されていて、学び直しの必要性は一層高まっていると思いますが、いかがでしょうか?

小宮山:よく「AIに仕事が奪われる」という話がありますが、実際のところは、全体の5%程度の仕事がAIに全部取って代わられますが、残りの95%はAIとの共存になると言われています。

藤井:ということは、 その中でも、AIによって代替される仕事と、一方でされない仕事の違いって何があるんでしょうか。

小宮山:長期的には二極化していくと言われています。数字で把握できるものや監視業務の一部は、既にAIに取って代わられていると思います。

また、これまでは弁護士や税理士といった「士業」と言われていた人たちは最後まで取って代わられないという話がありましたが、実は、記憶力や処理速度というのは、AIの方が圧倒的に良いので、最近では残念ながら代替される可能性があると言われています。

一方で、重要な決定を下したり、人との密接なコミュニケーションを必要とする仕事というのは、AIに代替されないと言われています。

藤井:人との関係性にかかわる部分は仕事として残るんですね。逆に、AIに代替されない仕事に共通するキーワードがあったりするんですか?

小宮山:そうですね…これからは、創造力と共感力の2軸が重要になってくると思います。

藤井:なるほど。つまりは、答えがない中で、自ら創造して多くの人に共感される仕事は残っていく。そのためには、やっぱり学び直さなきゃいけないということなんですね。

画像2

最初の一歩は「自分の仕事の棚卸し」

小宮山:はい。そして学び直すためには、まず、自分自身の仕事の棚卸しをしていただきたいと思います。

自分の仕事が、どのくらいAIやテクノロジーに取って代わられてしまうのかを計算してみましょう。例えば、自分の仕事が10あったらそのうちAIがどれくらい取って代わられるかを考えてみて、AIに7取って代わられてしまうと3しか残らないわけです。

その3をもっと磨くのか、それとも新しく7の部分を違う学びを通して新しい力、能力を身につけていくのかを考えていかなければいけないと思います。

藤井:これまでの日本には、終身雇用という制度があって、次のレールが自動的に決まっているなら、自分の仕事の棚卸しをするという機会は、ほんと少ないですもんね。

小宮山:一度立ち止まって考えてみるのはとても重要です。でも、これだけ社会のスピードが速いと自分の仕事がどの位置にあるのかとか、テクノロジーにどのくらい取って代わられるのかをゆっくり考える時間はあまりないと思います。

英語、歴史、数学…人生100年時代のキャリアと学び

藤井:自分の棚卸し以外にも社会の変化も見に行かなきゃいけない中で、社会人がこれから社会の変化を見ながら学び直しで取り組む人気のジャンルはありますか?

小宮山:「スタディサプリ」を見てみると、やはり英語の学び直しが人気です。昇進でTOEICの得点が必要ということ以外にも、これから英語を話したい!っていう方が結構いらっしゃいます。英語以外には、歴史や数学の学び直しをされる方もいらっしゃいますね。

藤井:歴史を勉強されている方が多いんですね!意外です。

小宮山:受験のための歴史ではなく、教養として歴史を学び直したいという方のニーズがあるようなんです。

藤井:少しずつ日本の社会人たちも学び直しを取り入れる人が増えてきている、と。
では、その先に学ぶ人が増えるとどんな社会が待っていますか?

小宮山:いまでは「人生100年時代」と言われてますよね。一方で、企業の平均寿命は約23年で縮小傾向にあります。

ということは、人生100年時代。健康寿命が80年とすると企業寿命の23年と大きなギャップがあるわけです。終身雇用で、生涯一社だけで勤め上げる方はほとんどいなくなり、兼業や副業、転職を繰り返される方が多くなると思います。

藤井:多様な仕事の領域、フィールドにチャレンジしていくことで新しい学びや足りない部分の学び直しの必要性を感じますよね。

小宮山:全く違う分野が、本業に良いメリットや気付きとなることは、多々ありますよね。

藤井:様々な領域でチャレンジすることが、良い学び直しになっている。そんな感じですね。

2020年以降、社会人に求められるものは?

最後に「2020年以降に社会人に求められるもの」について教えてください。

小宮山:学びは、今までインプットが中心でしたが、アウトプットをして初めて学びになります。今の時代は、SNSがあって誰でも自由に発信できますよね。自分が学んだことを発信することで、周りの人が「この人こういうことができるんだ!」と認知するんですよね。そこから新しいヒントや仕事を手にする人が多くなってくるんじゃないかなと思っています。

まず発信しないと自分が何を考えているのか分からないと思うので、今はすごくチャンスの時代だと思います。昔は有名な人じゃないと発信できませんでしたが、今は誰でも発信ができるので、チャンスです。

藤井:なるほど。ということで、今回のゲストはスタディサプリ教育AI研究所の小宮山利恵子さんでした。ありがとうございました。

小宮山:ありがとうございました!

▼ポッドキャストはこちら


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!