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常識にとらわれない決断が、働き方を根本から変える――小柳建設

小柳(おやなぎ)建設株式会社は、新潟県三条市に本社を構える、従業員およそ260人の建設会社です。

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。本記事は、過去の放送の中から、新潟県に本社を置く建設会社「小柳建設株式会社」の取り組みをご紹介します。

デジタル化を進めなければ、将来が危ない

同社が働き方改革に取り組むようになったきっかけについて、小柳建設の代表取締役社長・小柳卓蔵さんに伺いました。

社長プロフィール写真

小柳卓蔵社長

小柳社長が2008年に前職の金融業から父の経営する小柳建設に入社したとき、建設業におけるITの浸透が遅れていると感じたそうです。顧客管理は社員の頭の中にあり、書類は机の中に入ったまま。それらの情報を全体で共有することができない状態でした。当時、「建設業界では、DX(デジタルトランスフォーメーション)は無理だ」と言われていましたが、デジタル化を進めなければ将来が危ないと、小柳社長は考えました。

まず取り組んだのは、社内にあるすべてのデータをクラウド化することでした。「オンプレミス(自社でサーバーなどを運用する)」と「クラウド」で、それぞれにかかる経費を比較し、災害やデータを消失するリスクも考え、クラウド化を選択しました。

テクノロジーを使うとき「できない人」を基準にしない

データのクラウド化の次に取り組んだのは、コミュニケーションの改革です。

小柳社長は、電話が好きではないと言います。電話は人の時間を奪い、電話をしている側は良いと感じていても、受けた側はその時間を電話に費やすことで、効率が悪く生産性が落ちると考えていました。そこで、ビジネス版のチャットを導入することに決定。チャットはメールと違って、間違えて送った場合も削除・訂正できることなども利点と判断し、導入に着手していったそうです。

60〜70代の社員も多い中で、メールからチャットに切り替えることは、大胆な判断でもありました。小柳社長は、テクノロジーを使うときに「できない人」を基準にしては導入が進まないと考え、チャットに切り替えた際は年配の人をあえて気遣いませんでした。チャットは若い社員から広がっていき、次第に年配の社員もその便利さに気付いていったそう。本業では教える立場の年配の人が若い人に教えてもらうことになり、結果的に数カ月で、全社員が新しいコミュニケーション手段としてチャットに慣れていったと言います。

建設業界を違う次元に引き上げてくれる「Holostruction」

さらに小柳建設が取り入れたのは、建設現場での働き方を変えるとされる「Holostruction(ホロストラクション)」です。

Holostructionとは、MR=複合現実を利用して、建造物の3Dモデルを現実空間に投影する技術のこと。2016年、その技術の元となるメガネ型のデバイスを見たとき、小柳社長は「建設業界を違う次元に引き上げてくれる」と感じたそうです。

Holostructionのイメージ画像

建設業の仕事において時間がかかるのは、現場に行かなければ物が見られないことです。現場に行かなくても、その環境をその場でつくり出すことができれば、社員は作業が楽になると考えました。Holostructionは、その課題を克服できるアプリケーションとして開発されました。

その技術によって変わった働き方は、今年2月に完成した同社新社屋の設計の際にも明らかになりました。当初、東京の設計事務所が建築模型を持って新潟まで来ていましたが、Holostructionを使うことで、新潟と東京にいながらクラウド上でお互いに確認を行うことができたそうです。交通費が不要になるだけでなく、模型の制作に費やしていた時間を、別の時間として創出できるようになったそうです。

会社は、社員みんながワクワクして働ける場

2021年2月に出来上がった小柳建設の新社屋。そこでは、「ABW(Activity Based Working)」が取り入れられているそうです。

同社新社屋は、働く時間と場所を自由に選択できるABWというだけでなく、その洗練されたデザインがまるでIT企業のようだと話題になりました。それまで建設業界では、利益を生むのは現場であるとして、自社の社屋にはお金をかけないのが常識だったそうです。

しかし、会社は「社員みんながワクワクして働ける場」「成果を出せる場」であってほしいと考え、新社屋を建てることにしました。また、建設業では珍しい「フリーアドレス制」を導入し、社内にはモニターをたくさん設置して、社員と共有するために経営上の数字などが常に表示されています。

同社の経営理念「全従業員とその家族の物心両面の幸福を追求する」を実現するために、これからも働き方を変えていかなければならないと、小柳社長は話します。現在は、新入社員教育を効率的に実施するため、動画の利活用も進めているそうです。

ABWの新社屋の画像

小柳建設株式会社のお話から導き出す「WORK SHIFT」のヒントは・・・『常識にとらわれない決断が、働き方を根本から変える』でした。

DXには業績だけでなく、働き方改革を大きく進める力があります。

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■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

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