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アジカンが感じさせてくれた、日本語の歌詞のおもしろさ。YAJICO GIRLはどんな影響を受けた?

5人組バンド・YAJICO GIRLの四方颯人(Vo)が、自身の音楽のルーツや、楽曲『流浪』に込めた想いを明かした。

J-WAVE(81.3FM)で放送中の番組「SONAR MUSIC」内で、音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けする「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」。本記事は、過去の放送から、YAJICO GIRL 四方颯人さんの楽曲に込めた想い、アーティスト人生に影響を与えた楽曲との出会いについてのお話をご紹介いたします。
※J-WAVE NEWS 2023年4月4日掲載記事を一部編集し転載しています。

“流浪すること”を肯定するような曲

2012年に高校の軽音部で結成された5人組バンドのYAJICO GIRL。2016年にさまざまなオーディションでグランプリを獲得し注目を集めた。大阪で結成されたが、すでに拠点は東京に移していて、楽曲制作、アートワーク、MV制作など、クリエイティブのほぼすべてをセルフプロデュースしている。これまでに発表された楽曲『Better』『VIDEO BOY』は「J-WAVE SONAR TRAX」に選出されている。そんな彼らは自分たちの活動スタンスを“Indoor Newtown Collective”と表現しているが、3月8日にはそれをタイトルにした1stフルアルバムをリリースした。そこで今回は四方に、収録曲『流浪』で表現した自分たちらしさについて話してもらった。

四方:YAJICO GIRLはこのたび1stフルアルバム『Indoor Newtown Collective』をリリースしました。今回はそのアルバムからリード曲『流浪』についてお話ししようかと思います。

この『流浪』という作品は1stフルアルバムのリード曲になることが最初から決まっていたので、今まで以上にスケール感のあるサウンドを意識しました。どういうテーマにしようかなと考えたときに、“流浪すること”を肯定するような曲にしたいなと思いました。

今ってネット上にはさまざまな情報が乱立されていて、それに対しSNSでは“こうあるべきだ”とか、“この考え方は間違っている”など、たくさんの人が意見していると思います。でも、そういうやりとりだけを鵜呑みにするのではなく、仮にもし自分に夢とか目標がなかったとしても、その時々で自分に正直に生きていこうぜというか。そういうメッセージを自分に言い聞かせる曲になったし、その上で聴いてくださる方にとっても心に響くものがあれば良いな思っています。僕にとって大切な曲になりました。

『流浪』という言葉についてですけど、YAJICO GIRLはこれまでけっこう流浪してきたバンドだと思うんです。高校1年生のときに組んだバンドなんですけど、ガッツリ活動してきた中で、2019年に大幅に音楽性を変えたタイミングがありました。ここは、聴いている音楽と演奏している音楽の差がすごく広がっていることを自覚したタイミングで。「このままの活動はできないな」と思ったときに、海外だったり、グローバルで盛り上がっている音楽をリファレンスして、そこからは僕らにとってのあるべき音楽を、意識的に作るようになりました。

YAJICO GIRLらしさや自分らしさの話でいうと、僕はやっぱり海外の音楽が好きなんです。日本のポップスバンドとして開けた音楽をやっていきたいという想いはありつつも、わかりやす過ぎず、かといってニッチにもなり過ぎず、しっかり海外の音楽をインプットして、それを自分なりに解釈して、そしてちゃんと日本のマーケットを意識してポップスとして表現したいと思っています。そういう気持ちを大切にしていますし、そのバランス感覚は、YAJICO GIRLらしさなんじゃないかなって思います。

僕は歌詞でもメロディでも、ひとつの楽曲の後半のパートを作るのが得意って思っています。この曲も、後半に熱いメロディとか展開が待っているので、そのあたりを意識して、聴いてもらえたらうれしいです。


アジカンとの出会いで知った、表現の幅

「海外の音楽が好き」と言いつつも、演奏する楽曲は「日本のマーケットを意識してポップスとして表現したい」と話す四方。そんな彼のルーツとなる1曲は、ASIAN KUNG-FU GENERATION『新世紀のラブソング』。

四方:中学生の頃からアジカンが好きで、ずっと聴いています。でも、それ以前から実は母が車の中で流したりしていて、それのおかげかアジカンと出会ったときにすんなり聴くことができました。「いいバンドだ」と思ってから、ずっと聴いています。

『新世紀のラブソング』が収録された『マジックディスク』というアルバムは、僕が中学生のときにリリースされました。CDを購入して聴いていたんですけど、それまでのアジカンのどの作品よりも、歌詞やサウンドの幅広さみたいなものが更新されているような気がして。『新世紀のラブソング』もビートがそれまでのロックバンドテイストじゃないですし、歌詞にも僕が触れてきたロックミュージックじゃない何かを感じました。日本語の歌詞でこんな世界が作り出せるんだとか、こんなおもしろい表現ができるんだというのを、初めて感じることができた曲、アルバムでもあります。

僕たちYAJICO GIRLも歌詞の表現にはすごくこだわってますし、加えてサウンドの幅広さも強みだと思っています。そういう意味でも『マジックディスク』には、かなり影響を受けています。


キャッチーでありながら、激しい音楽性と文学的とも言える歌詞世界が魅力のASIAN KUNG-FU GENERATION。日本のロックシーンに大きな功績を残した彼らだが、四方にとっても大きな存在であるようだ。


アーティストの話を通じて音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けするコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」は、J-WAVE『SONAR MUSIC』内で月曜~木曜の22時41分ごろからオンエア。Podcastでも配信しており、過去のオンエアがアーカイブされている。


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