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2021年の働き方を考える! 専門家が見るこれからの兆し

昨年は、新型コロナウイルスの蔓延により、人々の働き方や価値観が大きく変化した1年でした。その変化を踏まえ、4日にわたってリクルートの「働き方」の専門家2人に「新しい働き方の兆し」について聞きました。

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

注目の新しい働き方「ふるさと副業」とは

1日目は、今注目が高まっている「ふるさと副業」について聞きました。
これは、地方の企業と都市圏のビジネスパーソンをつなぐもので、「副業×リモートワーク」という形で地方の企業に貢献するという働き方です。転職・移住を伴う「Uターン」「Iターン」が知られていますが、「ふるさと副業」であれば、都市部で暮らし、本業に従事しながら地方の企業に貢献することができる……というのが大きな魅力です。

リクルートキャリア・マネジャーの古賀敏幹さんによると、ビジネスパーソンからの注目度も高く、2018年に福岡で「ふるさと副業会議」というマッチングイベントを行ったときには200名強のエントリーがあり、2020年10月に開催した石川県主催の社会人インターンシップ交流イベントでも140名強のエントリーがあったと言います。特にこのコロナ禍では、社会人向けに副業やインターンを紹介するリクルートキャリアのサービス「サンカク」のウェブサイトへのアクセスが4倍になったとか。

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出典:株式会社リクルートキャリア『サンカク ふるさと副業イベント』への累計参加希望者数推移(2020年10月時点)


「サンカク」のサービスの特性上、30代の会員が多い傾向にありますが、応募者は20代~40代の方が中心。その地で生まれ育った方、あるいは学生時代や社会人になりたての時期にその場所で過ごした方など、その地域にゆかりがあり、「地元に貢献したい」という思いを持つ方が多いそうです。

一方、地方の企業側としては、経営課題にあるのが「人材不足」。
従来は、「Uターン」「Iターン」がメインでやや人材獲得のハードルが高かったそうですが、「ふるさと副業」ならばマーケティング、プロモーションの他、都市部に多いデジタル系の人材を活用しやすくなります。ちなみに、石川県にある創業110周年の老舗和菓子屋さんでは、洋菓子部門のプリンのECサイトでの売り上げ拡大を目指して都市部の副業人材を活用しており、現在5名が副業として携わっているそう。また、福岡の博多織の会社では、2018年のイベント以降3名が副業をしており、現在まで続いています。

「ふるさと副業」の今後の課題

2日目は、「ふるさと副業」の課題について聞きました。
古賀さんによれば、地方の企業にメリットがあるということをどうやって知っていただくか? が最大の課題とか。地方企業にとって「副業で人を受け入れること」はまだ身近でないこともあり、どうやって受け入れるか? どういう仕事をお願いするか? は手探り状態。

「私たちが事例をどんどん作ってノウハウを積み重ね、多くの企業に知ってもらうことが大切だと考えています。現在は社員として人材を雇用するのが主流ですが、『ふるさと副業』のような新しい形もあることを知っていただけたらうれしいです」

逆に、ビジネスパーソンにとって、「ふるさと副業」をすることのメリットはどんなことがあるのでしょうか?

古賀さんによると、まず、都市圏で働きながら「地元に貢献できる」ということ。さらに、普段の仕事の中で、企業の経営者と身近に働く機会はめったにないことが多い中、経営の真ん中で仕事に携われたり、成長できたり、今後に役立つ体験ができることがメリットと言えるそうです。
*興味がある方は、ぜひ「ふるさと副業」を手掛けている「サンカク」をチェックしてください。

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(写真:サンカク3周年にあたりチームメンバーで撮影 / 2017年)

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もうひとつの新しい兆し「派遣テレワーク」

3日目からは、もうひとつの新しい兆し「派遣テレワーク」について伺いました。
派遣スタッフが、自宅とオフィスの両方を組み合わせる働き方を「出勤オフ派遣」と呼んでいます。リクルートスタッフィング・スマートワーク推進室・室長の平田朗子さんによると、人材派遣協会のWEBアンケート調査(※)によれば、派遣スタッフの方々が派遣で働いている理由として最も多いのは「働く時間や時間帯を選べるため(43.1%)」、次いで「勤務地を選べるため(40.9%)」という結果で、時間や場所が希望に合わせて決められるという点を大きなメリットとして感じていることが分かります。そういった背景からも、テレワークで働くことと、派遣という働き方はもともと親和性があり、さらに仕事の内容が比較的明確に決まっている「ジョブ型」のため、テレワークで働きやすいという事情があるんだそうです。
※出典:2020年1月 派遣社員WEBアンケート調査(一般社団法人 日本人材派遣協会)

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(写真:リクルートスタッフィング・スマートワーク推進室・室長 平田朗子さん)

2018年にリクルートスタッフィングが行ったアンケートでは「従業員がテレワークしている」企業は35%、そのうち派遣スタッフがテレワークしていたのは1%でした。しかしコロナ禍の中で、2020年5月末には、派遣スタッフのテレワークは全国で48%、東京23区で62%に増加したそうです。

中でも進んでいるのがIT業界です。その要因として大きいのは、次の3つとのこと。

① IT業界はもともとITインフラ整備が進んでおり、従業員のテレワーク率が高い(約6割がテレワーク)
② ひとりで完結できるという(よりジョブ型の)仕事の特性上、テレワークで働きやすい
③ 人手不足が深刻な業界であり、人材確保のためにテレワークを可能にしているケースが多い

平田さんによれば、IT業界では出社を前提としない、フルテレワークでの働き方が受け入れられやすく、同社でもITエンジニア・WEBクリエイター向けの「在宅ワーク」派遣を展開しているそうです。

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「派遣テレワーク」の課題

最終日は平田さんに今後の「派遣テレワーク」の課題について、伺いました。
いちばんの課題はやはり「企業側の理解」。ITインフラ整備などの物理的な課題ももちろん障壁としてありますが、テレワークを初めて導入する場合には、さまざまな不安があり、なかなか踏み切れない心理的障壁があるようです。現時点では、業界によって濃淡があるそうですが、今後はテクノロジーの進化や社会の変化の中で、よりこうした新しい働き方が広がっていきそうですね。

一方、働く側としては、そんな働き方に対してどう対応していけば良いのでしょう? 平田さんによれば、このような働き方を通じて、「テレワーク力」が身に付くことを意識してスキル向上につなげると良いのではないか、ということでした。具体的には、以下の3つです。

① 自分の中でのタイムマネジメント力 
② オンライン・コミュニケーション力
③ オンライン・ツール活用力

この3つは、雇用形態に限らず、また、リアルで働くときも役に立つスキルと言えるでしょう。

今週のお話から導き出す「WORK SHIFTのヒント」は『新しい兆しをとらえて、より自分に合った働き方を考える!』でした。
企業の中でいかに効率的に生産性を上げるかに特化した「働き方改革」から、新たな時代は、それぞれの「暮らし」の中で「仕事」をどう位置付けるかを考える「クラシゴト改革」へ移っているようです。

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■コレカラ会議
企業と働く人の関係性が変わっていく中での新しい働き方については、リクルートグループのサイト「コレカラ会議」をチェックしてください。

■サンカク発行「ミラキャリ通信」ふるさと副業特集

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