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「訪問美容」って何?

リクルートで働くその道のプロが「仕事探し」や「学び方」「美容」や「食」といった様々なテーマの最新トレンドについて語るポッドキャスト番組『トレンドランナー』。第二話はホットペッパービューティーアカデミーの研究員をゲストに迎え、2020年に注目を集める「訪問美容」について話を聞きました。

藤井:リクルートがお送りするポッドキャスト「トレンドランナー」。ホットペッパービューティーアカデミーから研究員の廣田純子さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。

では、まずは廣田さん、ホットペッパービューティーアカデミーの概要を教えてください。

廣田:ホットペッパービューティーアカデミーは、美容サロンの予約サービスであるホットペッパービューティーの組織にある教育研究機関です。
美容室やエステサロン、ネイルサロンなどの美容系サロンの経営者の方々に向けて、無料で経営に役立つコンテンツを提供している機関です。

美容師さんが来てくれる?!訪問美容とは

藤井:ということで…、さっそく最新美容のトレンドを伺っていければと思います。今回のテーマは2020年の美容トレンドということで、廣田さんと深堀りしていくキーワードは「訪問美容」。まずは「訪問美容」について教えていただけますか。

廣田:はい。訪問美容とは、美容室に行けない事情を抱えている方のところに直接、美容師が足を運んで、髪を切ったり、パーマをかけたりするサービスのことです。
例えば、障害を抱えているお子さまや介護施設に入所されている高齢者の方、育児や妊娠されているなどお母さまで家から出られないというご事情を抱えている方のところにも足を運ばれて、髪を切ってくれるという美容師がいます。

藤井:なるほど。時間や場所に制約があっても、きれいでいたい、オシャレを楽しみたい!という方に向けて、訪問し施術を提供するということですね。

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ところで昔から「訪問美容」ってあったと思いますが、旧来的な訪問美容からの変化はありますか?

廣田:もともと美容師は美容室でしか髪の毛が切れないということが法律で決められていたんです。
でも、最近になって、美容室に足を運べない方や障害を持っている方、介護を受けている方などに限定し、家や介護施設にいながら施術を受けていいように変わってきました。

藤井:いろいろな場所やシーンで今まで美容をやりたかったけれどできなかった人にそういうサービスが広がっている、ということなんですね。
訪問美容が2020年になって注目されている理由は、なにかあるんですか?

廣田:訪問美容を受ける方のなかでも高齢者の美容意識が変わってきているんです。
実は、高齢者の方の美容意識って、戦前生まれと戦後生まれで大きく違います。
たとえば戦前生まれの方のなかには、「贅沢は敵だ」という当時の風潮のままで、そもそも美しくなることに対して「やってはいけないことだ」と罪悪感を持っている方もいらっしゃいます。

一方、戦後生まれの方は、自分が育った時期にテレビが普及し、テレビで女優がオシャレをしている姿を見てきた世代。
介護施設に入っても、今まで通りオシャレをしたい、美容室に行って髪の毛を切ってきれいでいたいという方は、実は、すごく多いです。

メイクや髪を整えると、普段話さない方の言葉数が多くなったり、「次はいつ美容師さん来てくれるの??」と自分が着飾ることに意欲的になったり、きれいになることで、生きる元気が湧いてくる、という話を介護施設に行くとよく聞きますね。

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藤井:なるほど。では今度は、個人側の変化を促すために、提供側の美容室の変化について教えてもらえますか。

美容室を取り巻く変化

廣田:はい。いま、日本全国に約25万軒美容室があると言われています。なんと、コンビニよりも、信号機の数よりも、美容室が多いという。

藤井:えぇ!、提供者側もそんなに多いんですね!

廣田:そうなんですが…でも美容室の数が増えていても、一方で人口自体は増えているわけではないので、美容室からするとお客様の数は増えているわけではない状況です。

さらに、美容室の方にお聞きすると、今まで来られていたお客様が高齢になるとだんだん足を運ばなくなる。ご家族の方からも介護状態になって家から出られなくなったという話もよく聞かれるそうです。

お店の経営にはお客様を増やしていく、長く通っていただくことがとても必要なんです。
お客様が高齢化するとお店に来られなくなるという現実のなかで、これから訪問美容が売上の柱になる可能性があるんですよね。

ということで、自宅で介護状態になられた方のところへも足を運んで切りに行くことができますし、介護施設に入られたあとでも、施術しに行くことができると考えると、ずっとお付き合いしていくことができるので、美容室の一事業として成り立って美容室の経営も安定する可能性もある。

藤井:世の中全体にお店が溢れかえっているけれど、お客さんは「もっと家の方へ来てくれれば切るのに」って思っていて、経営側も訪問したほうがチャンスがあるだろうという動きが出ているんですね。

八角:なるほど、それって素晴らしいサービスですね。

雰囲気まで届ける!最先端のサービス内容

藤井:今度は、具体的にサービスの特長について教えてもらえますか。

廣田:はい。たとえばいろんな特長・サービスが増えているなかで、アカデミーでも注目しているのが、「trip salon un.」さんという、都内にある訪問美容を専業で行われている会社です。

「trip salon un.」の代表の湯浅さんは、美容室で行われる施術と同じクオリティを訪問美容でも実現しようとするコンセプトで独立された美容師です。実際に行われている介護施設に行くと、通常の美容室と同じように看板を入口に置いてるんですね。

アロマを焚いて、利用者の方の年代に合わせた音楽をBGMで流すなど、サロンならではの雰囲気を再現した空間の中で髪の毛を切る、というサービスを提供されています。

八角:なんだか、ちょっと見に行きたくなりますね!

藤井:看板やアロマ、BGMも、美容室のような雰囲気が味わえる訪問美容なんですね。美容室のような雰囲気が「やって来てくれる」んですね。すごい。

廣田:利用者も美容室に行っている気持ちに近い状態で施術を受けられているんじゃないかなと思います。

藤井:サービスの内容は、カット以外にもなにかあったりするんですか?

廣田:カット以外には、シャンプー、カラー、パーマもできます。美容室で施術を受けるようにできるというものになっています。


訪問美容がもたらす美容室の「新しい働き方」

藤井:働く人にとっては、美容室と訪問美容はどうなんですか。

廣田:美容室は、長く働くのが難しい場合があるんです。例えば、女性の方が妊娠されたとか、お子さん抱えていらっしゃるなかで自分を指名してくれるお客様の予約が入っているのに、子どもが熱を出したから休まなきゃいけないという理由で、美容室勤務を続けることが難しかったりします。

妊娠や出産をきっかけに退職される女性の美容師が非常に多いなかで、訪問美容は、出産や育児で美容師をやめられてしまった方にフィットするお仕事なんですね。

藤井:そうですね。美容室まで通勤する必要があるっていうのもお子さんがいらっしゃると、なかなか大変ですよね…。自分の近くの場所で訪問美容ができることもある。

廣田:おっしゃる通り、介護施設が近くにあれば、そのまま直行直帰することもできます。あとは、訪問美容は主に昼間が活動時間になるんです。介護施設に入られている高齢者の方って夜の施術はさすがに受けられないので、だいたい朝9時~夕方5時くらいまでの時間帯が訪問美容の施術時間としてはゴールデンタイムですね。

ママがお子さんを保育園に預けてからそのまま介護施設に行って、昼間の間に施術をして終わったらそのまま保育園にお迎えに行って帰る、という勤務の仕方が可能なので、美容室で1日中立ち仕事というわけでもありませんし、夜も予約が入るということもありません。もう1回美容師として仕事をしたい!という気持ちに応えられるという点で、働き手を増やす可能性があります。

藤井:実際に訪問美容を行なっている美容室って、美容師さんに人気があるんですか?

廣田:長く働き続けられるというのは勤務されている美容師さんからすると、とても魅力があるみたいです。いま勤務されている美容師さんにとって長く働けるというメリットは、これから美容師を目指すという若い方に向けて、やりがいのある仕事というふうに伝えられる可能性があります。

美容学生のみなさんは、美容師をかっこよく華やかにやりたい、カリスマ美容師のような形で活躍したい、という方もいる一方で、人の役に立ちたいとか、社会貢献をしたいとか、そういうふうに思う学生さんもすごく多かったりします。

後者の方には訪問美容をやっているサロンはとても魅力的に見えるんですよね。そういう意味では、新卒採用のときに「訪問美容やっているんだよ!」といえるメリットもあるかなと思います。

2020年、訪問美容のトレンドはどうなる?

藤井:なるほど、なるほど。今回は2020年の美容トレンドをテーマに「訪問美容」というキーワードを深堀りしてきたわけですが…、最後に廣田さんが考える2020年の訪問美容のトレンドについて教えてもらえますか?。

廣田:訪問美容で提供されるメニューって、いまは圧倒的にカット、切るだけが多いんですが、少しずつカラーやパーマをしたい!っていう方も増えています。それ以外にも、フェイシャルエステやハンドマッサージ、ネイルを希望する方も出てくるなど、オシャレな高齢者の方が今増えてきています。

藤井:はい。ということで、今回のゲストはホットペッパービューティーアカデミーの研究員の廣田さんでした。ありがとうございました。

廣田:どうもありがとうございました!

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