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社員が柔軟性高く働き方を選択できる――三菱ふそうトラック・バス

三菱ふそうトラック・バス株式会社は、トラックやバスの商用車、産業エンジンの開発・設計・製造・販売などを行う大手メーカー。神奈川県川崎市に本社を構え、従業員はおよそ1万人です。

人事本部長の河地レナさんは、2008年のリーマンショックをきっかけに、同社は働き方改革に取り組み始めたといいます。そして、その金融危機から2年が経ち、日本経済への影響も落ち着いた2010年、改革は具体的なプロジェクトとしてカタチになります。プロジェクト「FUSO 2015」が立ち上がったのです。このようにして、「業界で最も働きがいがあり、社員一人ひとりが誇りを持てる会社」を目指す「Employer No1」など、三菱ふそうトラック・バス株式会社のさまざまな取り組みがスタートしました。

河地

三菱ふそうトラック・バス株式会社 人事本部長・河地レナさん

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「新しい働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。本記事は、過去の放送の中から、「三菱ふそうトラック・バス株式会社」の取り組みをご紹介します。

業界初の在宅勤務制度から、「モバイル・ワーク制度」に拡充へ

三菱ふそうトラック・バスが立ち上げたプロジェクト「FUSO 2015」の目玉は、在宅勤務制度です。同制度はこれまで何度も実現させようとして頓挫を繰り返してきましたが、2014年1月、今回の「FUSO 2015」の一環で、育児・介護者限定でスタート。その後、同年4月には、全社員向けに拡大して施行されました。自動車メーカーの中で在宅勤務制度を本格的に取り入れたのは、同社が初めてとのことです。

昨年6月、在宅勤務制度は、「モバイル・ワーク制度」という新制度へと発展しました。当初、在宅勤務は所定労働時間の50%を上限としていましたが、コロナ禍に突入したことがきっかけとなって50%制限を撤廃、100%在宅勤務を可能にしたのです。同時に、フレックス制度との併用も解禁されました。

もともと“在宅”であることが前提としていた同制度ですが、①インターネット環境が整っていて、②情報セキュリティが確保されており、③仕事に集中できる場所という3つの条件を満たしていれば、カフェや図書館など、自宅外でも勤務可能としているそうです。

「モバイル・ワーク2.0」への発展と挑戦

2021年1月からは、モバイル・ワーク制度をより進化させた「モバイル・ワーク2.0」がスタートしました。本社勤務のおよそ2,000人を対象にしたこの制度の内実は、出勤は最大週2日までという制限付きのリモートワーク。導入に伴って通勤定期券の支給は廃止されました。通勤定期券の代わりとして、リモートワークに不可欠なインターネット環境を整備するための費用を補助する「モバイル・ワーク手当」が支給されることになったそうです。

ところが、この「モバイル・ワーク2.0」制度、実はすんなりと導入されたわけではありませんでした。「最大週2日のオフィス勤務」という制限に難色を示す管理職を中心に、反対意見が相次いだというのです。その際、会社側は、この新制度が社員の働き方のニーズに応えたものになっていることを繰り返し丁寧に説明し、必要であれば週3日以上の出勤を可能にする“オプション”の追加を提案するなど、柔軟な対応をしたそうです。

モバイルワーク

他にも、「モバイル・ワーク2.0」制度にはさまざまな特色があります。管理職のマインドセットを変え、リモート環境下でもきちんとリーダーシップを発揮できるようにするためのトレーニングを導入したり、同じくリモート環境下でもチームをリードしたりできるようなマネージャーガイドラインを作成しています。さらに、新入社員や、新任の社員でもスムーズにリモート環境になじめるようにするため、相談相手を付ける「バディプログラム」という仕組みも導入。ITインフラの整備・強化も行いました。

順調に動き出したかに見える「モバイル・ワーク2.0」ですが、コミュニケーション面での課題がまだ残っているといいます。その課題を克服するため、最低でも月に1回はチーム全員が顔を合わせてコミュニケーションを図る「チームデー」を推奨しています。

河地さんは、「モバイル・ワーク2.0」が社員に受け入れられたのは、2014年から在宅勤務制度を始めていたからではないか、と話します。ちなみにこの「モバイル・ワーク2.0」は、今後も恒久的に取り組んでいくことが決まっているそうです。

柔軟性のある働き方のため「スーパーフレックス制度」と「フレキシブル休日」の導入

「モバイル・ワーク2.0」とともに導入された制度が、コアタイムのない「スーパーフレックス制度」。これは、8時間の勤務時間を自分の好きな時間に設定できるというもので、働き方に柔軟性を持たせることが可能な制度です。ただ、業務内容を上司や同僚と共有・確認した上で設定するなど、事前に周囲と調整することが必要になります。

課題とされていたコミュニケーションについては、チャットやメール、電話、オンライン会議など、いろいろなツールや手法を活用することによって、上司も部下もこれまで以上に積極的にコミュニケーションを取るようになったそうです。

三菱ふそう本社

土曜・日曜以外の休日(祝日・ゴールデンウィーク・年末年始・夏季連休など)に出勤した場合、同年内であればその日数分、自由に振替休日を取得することができる「フレキシブル休日」の導入も、社員の働き方の柔軟性を一層高めるだけでなく、ワークライフバランスの実現にも役立っているといいます。お子さんの休みに合わせて休日を取得するなど、本人の就業環境やライフスタイルに合わせて“フレキシブルに”休日を使用しているようです。

出勤2日間がよりコミュニケーションを充実させる

「モバイル・ワーク2.0」の導入よって、社員のコミュニケーションに対する捉え方に変化が出てきているそうです。出勤が最大週2日までとなったことで、社員はどのタイミングで出社するのかを考え、オフィスに来たときだからこそできることを調整したり、ミーティングを積極的に行ったりしているといいます。

河地さんは、こう話します。

「モバイル・ワーク2.0導入以前よりも、コミュニケーションに対して、また同僚や仲間に対して、よりありがたさを感じているのではないかと思います。社内でのミーティングでも、社員が生き生きとして情報共有やコミュニケーションを楽しんでいる様子をよく見ます」

同制度に関する社員アンケート調査では、社員の80%以上が「満足している」と回答。「コロナ禍後も、制度を維持してほしい」「長くこの会社で働きたい」という声が多く届いたそうです。

モバイル・ワーク2.0で定めた「リモートワーク3日間・オフィス出勤2日間」という勤務形態は、社員にとって良いバランスなので、継続していくそうです。今後はいかにモバイル・ワーク2.0を成功させていけるかを考え、課題が生まれれば解決策を見出し、さらに前進していきたいという、お話でした。

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三菱ふそうトラック・バス株式会社の取り組みから導き出す「WORK SHIFT」のヒントは・・・『リモートワークとコミュニケーションのバランスが、働き方改革を成功に導く』でした。

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■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

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