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今知っておきたい「若者の働く」をワークス研究所の若手研究員が解説

リクルートがお届けするポッドキャスト番組『トレンドランナー』では、Z世代のさまざまな悩みや疑問に、リクルートの若手社員がお答えする新企画をスタートさせます。今回は「いま知っておきたい“これからの働く”」をテーマに、リクルートワークス研究所の研究員・古屋星斗さんが、皆さんからの質問に回答。この記事では、ポッドキャストでは伝えきれなかった古屋さん自身のキャリア観にも触れながら、自分がワクワクできる仕事に出会うためのヒントをお届けします。

仕事選び、メイク、部屋探し、アルバイト。若者たちが気になるテーマを、さまざまな分野で働くリクルートの社員が語るポッドキャスト「トレンドランナー」。一人ひとりが何かに挑戦するときの一歩を踏み出すきっかけやヒントをお届けします!

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一人ひとりの可能性を花開かせるために

──リクルートワークス研究所は、どのような調査や研究をしているのですか?

古屋:一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会を創造することをミッションに掲げ、個人の働き方やキャリア、組織の人材活用などに関する調査や研究をしています。簡単に言うと、①たくさんの人や企業から話を聞く、②その話をもとに今の社会で起こりつつある変化の芽を見つける(仮説を立てる)、③立てた仮説をデータや論文を用いてたくさんの人に知ってもらう、④変化への対応策や解決策を先取りして提示する。この4つの流れで仕事をしています。

その中でも私は、若い人たちの「ファーストキャリアづくり」を専門に調査・研究をしています。

──若い世代を専門にしている理由は?

古屋:実は今の日本は、若者が働く上ではとてもいい国なのです。なぜなら、就職先があるから。世界的に見ても、日本は若者の失業率が極めて低い国です。しかし、本当に大事なのは入社した後なのです。入社後にどういった人と出会うか、どんな経験をするかによって、その後のキャリアに大きく影響するという研究結果もあります。

その人の可能性を花開かせるためには、最初の一歩目である若いうちにアプローチするのが一番手っ取り早い。なので、私はリクルートで、社会が若い人たちをどう支えるのか、若い人たちにどういう行動姿勢を取ってもらうと、その人の可能性や才能が開いていくのか、といったことをテーマに研究をしています。

──少子高齢化で若い人たちがこれから減っていく中で、社会全体の生産性が低下することはないのでしょうか?

古屋:日本は高齢化率が世界一高い国。裏を返すと、若者の割合が最も少ない国です。しかも、今後100年にわたって若者が少ない国であり続けると予測されています。若者の人数が多ければ社会全体の生産性が上がりますし、それだけで大きなインパクトを残せます。しかし全体の数が少なかったとしても、社会的インパクトを残せる人が増えればいい。つまりは少数精鋭です。日本がそうした国になれば、かっこいいと思うんです。

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自分が「人よりちょっと得意」なことを磨いていく

──そのような現状で働き方はどう変わっていくのでしょうか。楽しく働くことが大切とも言われますが、それでスキルが担保されるのかという疑問もあると思います。

古屋:「最低努力時間」という研究があります。これは、一つの仕事で一人前になるためには「最低これだけ」の時間がかかりますよ、という基準です。ただしこれは、必ずしも「石の上にも三年」とイコールではないと思っています。これからの時代は、最低努力時間に向けて、同時に2つのことをマルチタスクで行うのもいいでしょう。そこで立ち止まったり後戻りしたりしてもいい。昔はよく、働くことを定年までのマラソンにたとえられましたが、これからは短距離走を何回にも分けてやる時代だと考えています。

──短距離での全力疾走を繰り返すのも大変だと思いますが、うまく続ける方法はありますか?

古屋:よく「やりたいことを見つけよう」というと、「好きなこと」を想像する人が多いと思います。でも実際はそうではありません。多くの仕事は、社員であってもフリーランスであっても、チームでするものです。そのチームの中で、その人がちょっとでも優れていることがあると、周りにとっては本当にありがたい。こういったものを見つけてほしいですね。すると、短距離走をしてもそんなに力が要らない。もちろん、短期距離走よりもマラソンの方が向いている人もいるでしょう。どちらが良い・悪いではなく、どちらも選べる時代ということです。最終的に、職務経歴書に書けるプロジェクトにどれだけ携わってきたかということが大事。加点方式で考えておけば、失敗してもまた次があると思えますよ。

──若いうちにこそ、やっておくべきことはありますか? 

古屋:大きな行動よりも小さな行動、いわゆるスモールステップです。将来の目標よりも、来月や来週の目標を考えてみる。今、自分ができる一番小さな行動を見つけ、実践してみることが大切なんです。日常で、誰からも気付かれないような小さな行動を続けている人の方が、その後の大きなアクションを起こしやすいのです。

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小さな一歩を積み重ねることがワクワクできる仕事につながる

──これからは自分で調べて、小さくても行動することが大事なのですね。そういった行動を起こしてきた、古屋さん自身の仕事への原動力は?

古屋:例えば大学生と話したことによって、その人の行動が変わったとき、あるいは「うれしかった」「熱くなった」といったように、何か特別な感情を抱いてくれたとき。この瞬間に立ち会えたときに、私自身も心が震えるような経験をしています。これが何よりの原動力です。

──これからチャレンジしていきたいことはありますか? 

古屋:研究というのは、それだけでは意味がありません。それをどう社会で生かしていくのか、それをどう多くの人に使ってもらうのかということが一番大事です。研究したことを現場で使ってみる。すると、またデータが生まれ、新しい研究が始まる。実践の場をつくるために、私は会社とは別に一般社団法人をつくりました。若い人、一人ひとりのファーストキャリアづくりを応援できるように、研究と実践を循環させていけたらと思います。

──最後に、Z世代の読者の方にメッセージをお願いします。

古屋:先日、子どもとお仕事体験ができるところに行ってきたのですが、娘がこれまで見せたことがないような笑顔でうれしそうだったんです。仕事というと、「つらい」「大変」といったイメージを持つ人も多いと思いますが、本来、仕事はお金だけではなく、社会とのつながりなどのいろいろな報酬を得て、「うれしい」といった感情を引き起こすものだと、改めて気付かされました。

皆さんも回り道をするときもあるかと思いますが、少しずつ試しながら、自分がワクワクできる仕事を見つけられると思いますし、見つけてほしいなと思います。リクルートとしても個人としても、研究を通してそのお手伝いができたら大変うれしいです。

●リクルートワークス研究所 研究員 古屋星斗さん
一橋大学大学院社会学研究科(教育社会学)修了。2011年、経済産業省に入省。産業人材政策、投資ファンド創設、福島の復興・避難者の生活支援、「未来投資戦略」策定に携わる。2017年より現職。リクルートワークス研究所では、労働市場について分析するとともに、学生・若手社会人の就業や価値観の変化を検証し、次世代社会のキャリア形成を研究する。一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事も務める。

Z世代の働き方はどう変わる? AIやロボットに仕事を奪われない? SNSでキラキラしていないといけないの? 古屋さんがZ世代からの質問に答えるポッドキャスト番組『トレンドランナー』も、ぜひお楽しみください!

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