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「J-POPの幅を広げる」が目標のa子、音楽ルーツの椎名林檎を語る

シンガーソングライターのa子が、音楽のルーツや、楽曲『ジェラシー』に込められた想いを明かした。

J-WAVE(81.3FM)で放送中の番組「SONAR MUSIC」内で、音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けする「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」。本記事は、過去の放送から、a子さんの楽曲に込めた想い、アーティスト人生に影響を与えた楽曲との出会いについてのお話をご紹介いたします。
※J-WAVE NEWS 2022年05月24日掲載記事を一部編集し転載しています。

『ジェラシー』は上京したばかりの頃の等身大の歌詞

兵庫県出身のa子は、子どもの頃からギターと作曲を始めた。2020年に自主レーベル・londogから1st EP『潜在的MISTY』を発表。今年1月にはEP『ANTI BLUE』をリリースした。「SONAR TRAX」にはたびたび登場しており、宅録アーティスト特集や、今年1月のディレクターが“この1年でヒットするであろうアーティスト”をプレゼンする企画でも名前があがっていた。

そんなa子は、シングルとしてリリースされたばかりの作品『ジェラシー』に、どんな自分らしさを込めたのか?

a子:この曲は高校生の頃に、ギターとメロディだけで作っていて、上京してから今のバンドメンバーに出会い、アレンジを施しました。インディーズさを保ちつつ、ポップな感じにしたいとも思っていて、そのバランスを整えることはすごく意識しました。

私はインディーな雰囲気の楽曲も大好きで、一方でJ-POPや海外のポップスも大好き。自分の好きな曲の範囲は広いと思っていて、プログレからインディーポップ、ドリームポップ、オルタナティブロックも大好き。そういった幅広い楽曲を上手く組み合わせて、自分の個性として昇華できるように、いつも考えながら作業しています。

この曲はタイトルの通り「ジェラシー=嫉妬」について歌った楽曲です。歌詞は上京したての頃に書きました。その当時、新しく出会ったミュージシャンやアーティストに対する気持ちをそのまま反映しています。

上京したばかりの頃の私は“本当に何も持っていない”というネガティブな気持ちに苛まれていました。そんな中で、そのときに出会ったミュージシャンたちは互いに切磋琢磨していて。音大に通ってしっかり音楽について勉強している子もいたし、みんながそれぞれ真剣に自分の将来を考えているように映りました。

そんな中、私は音楽についてあまりにも何も知らなくて。例えば、不快な音を指す「ハウる」って言葉の意味すら知らなかったんです。「嫉妬」と言ったら少しダークに聞こえるかも知れませんが、ちょっとしたジェラシーを抱えていたのは事実で、この曲はそういった気持ちをそのまま表現しましたね。

椎名林檎に影響「自分がやりたいことを全部やっている」

最近では88risingによるラジオ「88rising Radio」が選出するアジアの最注目アーティスト「THE ROOKIES OF 2022」にも選ばれた。国内外で注目されているa子の表現の源はどこから来ているのか? ルーツとなる音楽の出会いについて聞くと、日本のレジェンド女性アーティスト・椎名林檎の1曲をあげた。

a子:洋楽だとメン・アイ・トラスト、クレイロなどなどが好きで、J-POPだとYUIさん、サカナクションさんなんかを好んで聴いているんですけど、中でも私のルーツと言える1曲は椎名林檎さんの『浴室』です。

私には“J-POPというジャンルの幅を広げる”という目標があるんですけど、『浴室』にはそういうものを感じます。上京する前から椎名林檎さんのことは知っていたんですけど、自分がやりたいことを全部やっていると薄々感じていたので、怖くて聴けない時期がありました。ちらっとは聴いてたんですけど、ちゃんと聴くと影響されすぎてヤバイだろうなみたいな(笑)。

上京してからはしっかりと聴くようになりました。やっぱり私のやりたいことを全部やっていたけれど、もうここからは“林檎さんを目標にして頑張るしかないな”と思えました。

誤解を恐れずに言うと、林檎さんって“厨二病感が気持ちいい”というか(笑)、そういう心をくすぐられる歌詞が書かれていると思うんです。インタビューを読んでみたら「辞書を買ってきて、端から端まで読んでそれを歌詞にしていた」みたいなことを仰っていて。私も初めて歌詞を作ろうと思ったときに辞書を買って“こういう風に作っているのかな”と考えながら、作業しました。そういう意味ではモロに影響を受けていますね。

今は林檎さんサウンドのアレンジのかっこよさというのもやっとわかるようになってきました。初めて聴いた当初は“新しい”としか思えなくて、実際は何がすごいのかよくわかっていなかったんです。今はアレンジがスゴいことはもちろん、演奏が上手すぎることなど、いろいろわかるようになりました。それはすごくうれしいことですね。


椎名林檎との出会いは、影響を受けるのが怖いと思うほどのものだった。しかし、そのネガティブな感情から逃げずに自分を高めたことで、新進気鋭アーティストとして注目される今があるようだ。 


アーティストの話を通じて音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けするコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」は、J-WAVE『SONAR MUSIC』内で月曜~木曜の22時41分ごろからオンエア。Podcastでも配信しており、過去のオンエアがアーカイブされている。



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