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徹底した現場のための改革が、事業を大きく伸ばす――エースカーゴ

1992年創業のエースカーゴ株式会社は、家電製品や家具の配送にとどまらず、それらの取り付け設置工事まで行ってくれる運送会社。滋賀県野洲市に本社を構える、社員およそ60人の企業です。

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J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。本記事は、過去の放送の中から、運送会社「エースカーゴ株式会社」の取り組みをご紹介します。

自社でITシステムを開発

はじめに、エースカーゴが働き方改革に取り組むきっかけとなった出来事について、事業部長の足立貴裕さんにお話を伺いました。

2018年、当時のドライバー3分の1に当たる7名が退職しました。その後、新たに人材を募集しても全く応募がありませんでした。物流業界は労働時間を短縮することが難しく、急な休日出勤などイレギュラー対応をしなければならないこともあります。こうした物流業界の働き方を変えなければいけないと考えたのがきっかけでした。

そのために同社が取り組んだのは、自社でのITシステムを開発することでした。今までアナログで行っていた運行管理や伝票管理を新しいシステムに移行して、働く時間を短縮。ドライバーやオペレーターの負担を軽くすることを狙いました。社員から意見を集め、どのようなシステムであれば便利になるのか、お客様に喜んでもらえる情報管理ができるのかを考え、1年かけて開発しました。

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足立貴裕さん

独自管理システムの恩恵と浸透

運送会社ならではの、独自のシステムを導入したことにより、以前は荷主の数だけあった膨大な種類の伝票を一つにまとめることができ、エクセルでの管理も一本化したことで、これまで費やしてきた作業時間が半分になりました。荷主・事務所・倉庫・配送現場をつなぎ、時間管理や写真などの情報をシステム上で行うことで、現場と事務所間の電話による確認も激減しました。現場ではこのシステムを、同時に開発したスマートフォンアプリで運用しているということです。

システムは現場での情報入力が基本ですが、当初、一部の社員は入力を後回しにしていました。そうした社員には、その必要性を伝えることで、現場での入力が徹底されるようになりました。会社側からの「従業員を大切にしている」という姿勢が社員に伝わっていたことが功を奏し、入力を後回しにする社員に対して、事業担当者が注意するだけでなく、周りからのフォローもあったそうです。

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管理システムによる数々の成果

独自の管理システムによって生まれた、具体的な成果についても伺いました。

システム導入以前は、現場担当者が目視による検品で積み込みをしていたため、積み忘れが毎日のようにあったそうです。しかし、システムのバーコードスキャンによって、積み忘れが100%なくなったと言います。

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また、昨年35時間あったドライバーの残業時間が20時間に減少、事務職も31時間から15時間に半減し、システムによる成果をリアルに感じているそうです。

その他、繁忙期は荷物が多く、そのことが現場の負担につながっていましたが、システムを導入したことで、自社が受注可能なキャパシティーを把握できるようになりました。この日は何件空いているか、埋まっているかなどが正確に分かるようになったので、配車計画・人員配置が明確にできるようになったそうです。

ユニークな会議と、これからの展望

最後に、改革のベースとなったユニークな会議方法と、働き方改革の今後について伺いました。

エースカーゴでは、全責任者が社長に気を遣わずに本音の問題・課題について話せる会議を、月1回開いています。問題提起し、それについて責任者である自分たちがどういったプラスアルファの役割を持つことができるのかを考え、行動指針も決めていく会議です。和気あいあいとした雰囲気ですが、話されている内容は具体的で根本的なものばかりだそうです。管理システムの開発についても、どのようなシステム設計にすると働き方が変わるのか、意見をぶつけ合いながら進めていったそうです。

同社は、地元の滋賀県から全国展開を進めています。同業他社から、エースカーゴの管理システムを使わせてほしいという声が上がってきたため、システムを安価で提供する代わりに、他府県とのパイプを強くしています。

今後は、全国の人口の少ない市町村からでも配送・取り付け設置工事が依頼できるインフラをつくりたいとのこと。さらに、物流業界のイメージを変えて、子どもたちがなりたい職業のランキングに物流が入るようにしたいと、お話しいただきました。

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ご紹介した、エースカーゴ株式会社のお話から導き出す「WORK SHIFT」のヒントは・・・『徹底した現場のための改革が、事業を大きく伸ばす』でした。

働き方改革は、事業そのものの改革にもつながっています。

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■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

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