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コロナ禍で失われたコミュニケーションを取り戻す働き方――フラッグシップオーケストラ

ITのベンチャー企業が集中する東京・五反田に本社を構え、ドイツ・ベルリンにもクリエイティブチームを持つ株式会社フラッグシップオーケストラ。動画制作のフローをオペレーション化し、低価格かつ大量制作が可能な強みを生かして、企業の動画広告、サービスプロモーション、YouTubeチャンネルなどのコンテンツ提供や動画の配信・分析ツールの提供、動画マーケティングサービスなどを展開しています。

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内でさまざまな企業や個人が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。本記事は、過去の放送の中から、格安・大量動画制作サービス「ムビラボ」を軸として動画ビジネスを展開している「株式会社フラッグシップオーケストラ」の、コロナ禍で失われたコミュニケーションを取り戻す取り組みをご紹介します。

自社が得意とする“動画”でコミュニケーション

動画の撮影は基本的にオフラインで、動画編集では立ち会いなどもあるため、コロナ禍以前は、リモートワークなど考えられない組織だったというフラッグシップオーケストラ。そんな同社ですが、働き方のデジタルシフトを進め、コロナ禍でのリモートワークの割合は95%を超えるまでになったそうです。働きやすさが増した一方で、トップのフィロソフィーが浸透しづらくなったり、雑談のようなコミュニケーションが減少したりするという課題が浮かび上がりました。

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そこでフラッグシップオーケストラが取り入れたのが、自社が得意とする“動画”を使ってメンバーのエンゲージメントを高める方法でした。同社が生み出した、“動画(ムービー)”と“エンゲージメント”をかけ合わせた「MOVIE-MENT」という動画コミュニケーションについて、同社代表取締役・大澤穂高さんはこう話します。

「コロナ禍でリモートワークが浸透した後に採用したメンバーの中には、一度もリアルで他のメンバーに会うことがないままの人もいます。そこで、メンバー一人ひとりの自己紹介ムービーを制作しました。見ていて楽しく、誰の動画がどれだけ視聴されているかなど、ちょっとしたエンタメ要素も入れつつ展開しているので、動画がコミュニケーションのきっかけになっています」

メンバーの自己紹介や仕事の内容などを配信するだけでなく、代表の大澤さんも定期的に「フィロソフィー動画」と題して、会社の方針や経営者としての思いなどを「MOVIE-MENT」を通して配信しているそうです。

「MOVIE-MENT」導入後、組織にはどのような変化があったのでしょうか。

「月1回、メンバー全員分のエンゲージメントをアナログとデジタルで分析しているのですが、人間関係やミッション・ビジョンの浸透などのスコアが、ずっと右肩上がりで上昇していることが分かりました。この試みは、コロナ禍が終わっても継続したいと思っています」

“オンラインだからこそ”できることを

フラッグシップオーケストラではリモートワークが続くことで、メンバー同士の日常の何気ない会話や、チームワークなどが失われてしまうことのないよう、さまざまな取り組みを始めています。

その一つが、毎朝、メンバー全員で行うオンライン朝礼です。1日のスタートをみんなで共有することが、コミュニケーションの機会創出はもちろんのこと、オンとオフのメリハリがついたり、チームワークを高めたりすることに役立っているそう。

リモートワークではテキストだけでのやりとりが多くなりがちですが、朝礼を行うことで、対面で物事を人に伝える力も養われるなど、その効果を見直す企業は増えているようです。

さらに同社では、年に一度の社内イベントである総会もオンラインで実施したとのこと。大澤さんは、オンラインで総会を開催した理由をこのように語ります。

「コロナ禍で、総会もオンラインでの実施になりましたが、せっかくなら自分たちの得意な領域でもある動画で、『見ているメンバーも楽しむことができるものにしよう』と考えました。テレビ番組を見ているかのように、自宅で楽しめるコンテンツにすることで、オンラインだからこそできる内容になったかなと思います」

私たちの周りには、“仕方なくオンライン”にしていることが多々あるような気がします。一方、フラッグシップオーケストラは仕方なくオンライン開催にするのではなく、オンラインならではの総会にすることで、逆に自社の可能性を広げているのです。

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“ありがとう”の気持ちを伝える「FSOコイン」

リモートワークは、仕事の中で生まれるさまざまな“気持ち”を伝えることも、難しくなっています。そのような中、フラッグシップオーケストラでは、“ありがとう”の気持ちを伝える、社内独自の仮想通貨「FSOコイン」を導入しています。

「FSOコイン」は入社時に各メンバーに一定枚数配布され、仕事で手伝いをしてもらったときなどに、相手に渡すことができるというもの。このコインは貯めていくことで、旅行券などにも交換できるそうです。

「リアルなオフィスで隣の人にお願いできるちょっとしたことも、オンラインだとなかなか難しく、自分で抱え込んでしまうメンバーも出てきました。けれど、『FSOコイン』を導入してからは、ちょっとした仕事を依頼し合うようになりました。社内の募集板に『FSOコイン〇枚で、この仕事を手伝ってくれる方、募集中!』と書き込むなど、ゲーム感覚で楽しみながら人にお手伝いを頼んだり、引き受けたりできる文化が生まれたのは良かったと思います」

FSOコインは月に一度、使用額が公表されるそうですが、「ありがとう」と言われる側はもちろん、「ありがとう」をたくさん言える人も称賛されるカタチになっているとか。コインのやりとりの履歴から、「このメンバーは、裏でこんな仕事もしていたんだ……!」と知るきっかけにもなるそうです。

“ハイブリッドな働き方の時代”に大切なこと

フラッグシップオーケストラは、動画業界の「“非”常識を常識にする」というミッションを掲げ、組織を変化させてきました。コロナ禍のような状況下でも、“変化”で対応してきました。大澤さんは、コロナ禍によって変化した働き方について、こう話します。

「コロナ禍に対応するためのオンライン施策は継続していこうと思う一方で、オフライン=リアルコミュニケーションの大切さにも気付かされました。今後、オンラインに移行したものがオフラインに戻るものもあり、これからはそうしたハイブリッドが当たり前になると思います」

そんな“ハイブリッドな働き方の時代”で大切にしたいことについて、大澤さんは続けます。

「これまでいろいろな施策をやってきましたが、もともとフラッグシップオーケストラは、組織が変化していくことをいとわないというカルチャーがあったので、うまくハマったのかなと。その企業風土を、引き続き大事にしたいと思っています。ただ、大事にしていきたい組織のカルチャーをルールにしてしまうと、カルチャーでなくなってしまう。よくルールは法律、カルチャーは国民性とメンバーに伝えていますが、その点を意識した上でメンバー一人ひとりの働きがいを追求していきたいと思います」

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今回ご紹介した、株式会社フラッグシップオーケストラの働き方への取り組みから、番組が導き出した「WORK SHIFT」のヒントは・・・『大切にしたい組織のカルチャーはルール化しない』でした。

組織の中で育まれるカルチャー。良いものだから、大切だから、決まり事にしたくなるときがあるかもしれません。しかし、ルール化した途端、組織や従業員一人ひとりの柔軟性や適応力が落ちてしまう……。変化の大きい時代だからこそ、カルチャーの育み方は重要になってくるのではないでしょうか。

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■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

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