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やる気を引き出す強い改革と、しっかり応える制度づくり――新東工業

新東工業株式会社は、世界トップクラスの鋳造技術を核に、さまざまな産業への技術開発と設備・サービスの提供を行っている企業です。愛知県名古屋市に本社を構え、国内外を合わせておよそ4,000人の従業員を擁します。

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「新しい働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。本記事では、過去の放送の中から、「新東工業株式会社」の取り組みをご紹介します。

企業理念「Heart」に基づく働き方を

新東工業が働き方改革に取り組むようになったきっかけについて、同社代表取締役社長・永井淳さんにお聞きしました。

永井さんは1990年ごろアメリカで働いていましたが、一生懸命働いても成績が上がりませんでした。一方、同僚は遊びながらも営業成績がトップ。自分がどう評価されているのか、悩んでいたといいます。日本に帰国後、新東工業に入社した際、アメリカでの経験から、長時間働く人が評価され、効率よく働く人が評価されないことに違和感を覚えたそうです。その一方で、チームワークを生かす日本の働き方から考えると、アメリカ流の成果主義についても疑問を感じたそうです。

そこでチームを組んで、働き方改革について検討を始めました。技術を通じてお客さまとの信頼関係を築き上げ、発展していくという企業理念「Heart(Human Enrichment & Achievement through Reliable Technology)」に基づいて、改革の方向性を決定。技術や技能を大切にし、可能性を広げようとする人たちに報いることが、会社の目指すべき姿だと考えました。

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新東工業株式会社 代表取締役社長・永井淳さん

人としての幅を広げる「活人主義」の導入

新東工業では「活人主義」と呼ばれる考え方を、人事制度の基本にしているそうです。

活人主義とは、技術や技能に重きを置き、その向上のために自分自身の幅を広げようとする人を、企業として大事にするというもの。ポイント制を導入し、会社に貢献した人ほど退職金が多くなっていく制度や、自己啓発研修に参加するなど、自己の能力向上に努力した人はポイントが給料に加算される制度を採っています。

ポイント制度を導入したきっかけは、退職金の見直しでした。退職金を勤続年数だけで決めるのではなく、会社への貢献度をポイントとして反映させることにしたのです。また、自己啓発研修の受講でポイントが増える仕組みなど、社員のやる気に報いる制度としました。自己啓発研修は、階層別の研修、専門研修と合わせた社内研修の3本柱の一つ。異文化理解、話し方、コーチング、ファシリテーターなど、業務と直接関係のないスキルを身に付けることで、仕事の幅が広がることを期待しているそうです。

活人主義(研修風景)

より高い目標にチャレンジするために

その他、社員の挑戦を後押しする「グローバルチャレンジ制度」について永井さんに伺いました。

グローバルチャレンジ制度は、社会人博士号や海外留学など、より高い目標にチャレンジしたい人のための特別なプログラムです。制度導入のきっかけは、ある社員がJICA(国際協力機構)のプログラムで、タンザニアに行くので辞めたいと言ってきたことでした。永井さんは、こういった人たちにこそ戻ってきたときに活躍できる場をつくりたい、と思ったそうです。そのためこの制度では、海外や大学に行くことを短期や長期の特別休暇として扱い、その社員が経験してきたことを生かせる場を用意しています。グローバルチャレンジ制度を利用した社員の中には、現在、同社の海外事業部や子会社の役員として活躍している人もいるそうです。

また、世界17カ国で事業展開している新東工業は、それぞれの国に合わせた人事制度を採っていますが、技能に関しての評価はグローバルで統一されています。

参考にしたのは、永井さんが小学2年生から始めたというボーイスカウト。その育成制度は世界共通で、年齢に応じてチャレンジできる進級章と、個人の興味関心に合わせて取得できる技能章とがあり、「必修課目」と「選択課目」の二つを組み合わせて評価する制度となっています。永井さんは経験のあったボーイスカウトの評価制度から着想を得て、国内外の新東工業グループの技能評価制度に展開させたそうです。

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一人ひとりがさまざまなライフプランが描けるように

同社では昔からクラブ活動や、社員同士のコミュニケーションの場を大切にしてきました。そうしたコミュニケーションのための場は一番先にリニューアルしたい。そこで、老朽化していた独身寮と保養施設「新東クラブ」の建て替えを図りました。施設の中に談話室を設けるなど、みんなが集まることができるスペースを大事にしているそうです。

永井さんは、新東工業での働き方を「入社して10年は自分探しの時代、60歳までは会社に貢献する時代、60歳以上は第2の人生の働き方を探す時代」と考えています。60歳以上の働き方に関しては、65歳までの再雇用「エキスパート社員制度」や、65歳以上で退職した人を対象にした「シニアいきいき制度」という、長く働ける仕組みを導入している他、秀でた技能・技術を有する社員には定年制を廃止しました。

働き方の多様化に向けて、さまざまなライフプランが描けるような制度をこれからもつくり続けていきたいと、永井さんは今後の展開について語ってくれました。

独身寮_ウッドデッキ

新東工業株式会社のお話から導き出す「WORK SHIFT」のヒントは・・・『やる気を引き出す強い改革と、しっかり応える制度づくり』でした。

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■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

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