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子どもたちの未来につながる「キャリア教育」──「キッザニア オンラインプログラム」のキャリア面談で感じた想い

2020年8月4〜6日、小学5年生以上の「キッザニアクラブ東京」、「キッザニアクラブ甲子園」会員の子どもたちを対象に、オンラインでキャリア面談を行うイベント「リクルートキャリア(※) キッザニア 夏のオンラインプログラム」が開催されました。

新型コロナウイルスの影響で、休校や外出自粛などさまざまな状況に対応を強いられている子どもたちに、少しでも未来への明るさを感じてほしい──。そんな想いで行われたイベントの背景や学びについて、企画担当者の加瀬みつよさん、参加キャリアアドバイザーの廣岡貴志さん、柴山聖奈美さんに詳しく聞きました。

※現リクルート

●企画担当者 加瀬みつよさん
2009年に新卒でリクルートグループに入社。事業開発室で新規事業の立ち上げに3年間携わり、その後『ゼクシィ』の企画・営業、まなび事業本部で営業などを経験。2018年4月にキャリアウェブ(好きなグループ会社に転籍できるリクルートグループの社内公募制度)を活用し、リクルートキャリアの顧客ロイヤルティ推進部に異動。社内研修の企画ほか、複数のプロジェクトに携わっている。
★仕事で大事にしていること「自分ならではの価値を発揮することです。一緒に仕事をする人やお客様に、ご一緒できて良かった、任せて良かったと思っていただけるように心掛けています」

●参加キャリアアドバイザー 廣岡貴志さん
大学卒業後、物流会社、愛知万博、NPO法人などを経てリクルートグループに入社。現在は、愛知県名古屋市で主に技術職の顧客に向けてキャリアアドバイスを行っている。
★仕事で大事にしていること「楽しく仕事をすること。自分が楽しくなければ、相手にも伝わってしまうから、楽しさは常に心掛けています」

●参加キャリアアドバイザー 柴山聖奈美さん
大学卒業から5年間、ホームセンターの接客販売業務に携わる。その後、2017年7月にリクルートグループに入社。現在は神奈川県横浜市でエンジニア職の顧客に向けてキャリアアドバイスを行っている。
★仕事で大事にしていること「仕事でどれだけ楽しめるか、どれだけ成長できるかということを大切にしています。この2つがあるからこそ、お客様に高い価値を提供できると思っています」

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今だからこそ、自分の可能性の広がりや未来への明るさを届けたい

──「リクルートキャリア キッザニア オンラインプログラム」とは、どのようなイベントだったのでしょうか。

加瀬:当社のキャリアアドバイザーが、キッザニア会員の子どもたちにオンラインで個別面談を実施するものです。子どもたちには、「聞きたいこと」「特技」「習い事と継続年数」「好きな科目」など、事前にいくつかの質問に答えてもらいます。それを基にして、キャリアアドバイザーが個々の持ち味や強みを一緒に探ったり、将来の夢を実現するための相談に乗ったりすることで、子どもたちに将来どういう大人になりたいかを考えるきっかけにしてもらうことを目的としています。

今年4月に、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令され、世の中が大きく混乱しました。創業以来「働く」ということに長く向き合ってきたリクルートとして、何か社会に役立つことはできないだろうかと考えたのが、企画の発端でした。

もともとCSR活動としてキャリア教育プログラムを実施していましたが、今回、子どもたちが休校や外出自粛などで家にいなければいけない状況のなか、少しでも「体験を届けられないか」と思ったんです。その体験を通して、自分の可能性の広がりや未来への明るさを感じてもらえたら、という気持ちがありました。

──なぜ、子どもたちに着目したのでしょうか。

加瀬:リクルートには、若年層のキャリア形成に興味のある人が非常に多いのです。普段、多くの面談をする中でキャリアアドバイザーが口をそろえて話すのは、「若い時にキャリアについて考えたことがある人ほど、納得感のあるキャリアを築ける」なんです。

就活の時に条件だけで就職先を選んだことが、後悔につながってしまうことも少なくありません。早い段階から、「本当は何をやりたいのか」、「自分の持ち味は何なのか」といったところを真剣に考えることが、納得して将来を進んでいくために必要なことだと考えるキャリアアドバイザーが非常に多いのです。もともと、キャリア教育プログラムを立ち上げた根本的な理由は、ここにありました。

──オンライン面談は、具体的にどのような内容だったのでしょうか。

廣岡:僕が担当した中に小学校高学年のお子様がいました。その子は、「ウェブクリエイターを副業でやりたい」という具体的な希望を持っていたので、どのようなスキルが必要か、どのような準備をしたらいいかなど、選択肢を伝えるようにしました。

柴山:私は2人のお子様を担当しました。2人とも、やりたいことはある程度自分で決めていたのですが、どういった進路がいいのか分からないという相談に加えて、それ以外にどのような仕事があるのか悩んでいるようでした。そこで私は、その職業になるための道筋や仕事の選び方についてアドバイスしました。真剣にメモを取りながら聞いてくれたのがうれしかったです。

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写真左:加瀬さん、中央:柴山さん、右:廣岡さん

──オンライン面談の中で、印象深かったことを教えてください。

廣岡:前回*の参加者の実施後アンケートで「話を聞いてもらえたことが、すごく良かった」という声が多数あったんです。だから今回も、相手の話をよく聞こうと意識して面談に臨みました。その点に気を付けた分、今回は特に、その大切さを改めて感じました。

*2019年12月に対面でのキャリア面談イベントが行われた。今回のオンラインプログラムは2回目の開催となった。

柴山:私は、普段の面談より子どもたちとのキャリア面談の方が難しいと感じました。子どもたちは、今どう思っているのか、どう感じているか、すぐに表情に出るからです。こちらが何を言っているのか分からなかったり、今はその話をしてほしくないと思っていたりする時、表情ですぐに分かるんです。子どもたちの反応をよく見ながら、方向性を修正していました。

今回、子どもたちのおかげでその点に気付くことができましたが、普段、実施しているキャリア面談は大人が相手です。大人は心中を表情に出さないことが多いので、もしかすると、これまでも相手が思っていること、表情には出ていない不安や不満を見過ごしてしまっている可能性があるのではないかと感じました。表情だけではなく、声のトーンやリアクションをしっかり捉えて寄り添っていけたらと改めて思いました。

廣岡:逆に、これは話したい!それは伝えたい!と感じていることを話す時には、子どもたちはすごくキラキラした目で話してくれますよね。ここが話したいことなんだなと、すぐに分かるんです。

柴山:そうなんです。それはすごくうれしかったですね。そういうところを聞き出せるように努めました。普段の面談でもさらに意識していきたいです。

加瀬:子どもたちからは、「とっても楽しく自分の将来のことにちゃんと向き合える時間が取れて、うれしかったです!」「とても分かりやすく、将来の自分に向いているお仕事をたくさん教えてくれたので、自分の未来が広がった気がしました。また、このイベントをやってほしいです」という声をいただきました。

保護者の方からは「リクルートのキャリアアドバイザーの仕事もいいなと子どもが話していました」「娘が、迷いが吹っ切れて喜んでいました」といった感想をいただけて、とてもうれしかったですね。

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対面でのキャリア面談イベントの様子(2019年12月開催)

自分の持ち味を知ることが未来の可能性につながる

──今の子どもたちは、仕事に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか。

柴山:参加してくれた子どもたちは、仕事に対してポジティブなイメージを抱いていることが多いと感じました。自分のやりたいことを具体的に決めているお子様も、比較的多かったように思います。

廣岡:一昔前までは、プロ野球選手やケーキ屋さんを挙げる子がよくいましたけど、僕が今回担当した子どもたちは、もっと現実的で具体的でした。

加瀬:確かに、商社マンやキャビンアテンダントなど、明確になりたい職業を決めているお子様も多かったです。私たちは、もちろん希望する職業に就くためのアドバイスはするのですが、なぜそう思ったのかという価値観や根本的な考え方を聞いて、他にも向いている可能性のある選択肢を提案することもありました。

子どもに限らず誰にでも言えることですが、仕事の選択肢は知っている範囲からしか出てきません。「視野を広げ、選択肢を増やす」ということは、キャリアアドバイザーの業務の中でもとても大切なことだと思っています。

そして同じくらい大事にしているのが、自分の持ち味を知っていただくためのきっかけづくりです。自分の持ち味が何かを考える機会って、なかなかないんですよね。

廣岡:その点は自分だけでは気付きにくいですよね。何をやっている時が楽しいか、どんな時にうれしいと思うのか、私たちキャリアアドバイザーがそういう根源的なところを、丁寧に耳を傾けて引き出し一緒に考えることは、非常に大きな意味を持つと考え、私もとても大切にしています。

それを保護者に話そうとすると、恥ずかしくてなかなか言えませんよね。プロのキャリアアドバイザーという立場だからこそ、子どもたちも相談しやすかったのではないかと思います。

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写真左:加瀬さん、右上:柴山さん、右下:廣岡さん

自分の“楽しい”を大切に、選択肢を広げてほしい

──参加された子どもたちにメッセージがありましたら、お願いします。

廣岡:先程お話ししましたが、僕が担当した中でウェブクリエイターを志望するお子様がいました。でも、その職業は、僕が子どもの頃には、ごく限られた人しかできないような、新しい仕事でした。今の子どもたちが就職する頃には、まだ存在していない仕事を選ぶ可能性も十分にあります。だから「この仕事がしたい」という範囲だけで考えず、何が楽しいのか、何に興味があるのかということを大切にしながら、いろいろなことにチャレンジしてほしいなと思います。

加瀬:このイベントを通して、自分の持ち味に気が付いた人、なりたいと思っていた職業以外にも目を向けようと思った人、意志を新たにした人、さまざまだと思います。少しでも自分の将来を考えるきっかけになればとてもうれしいです。

いきいきと働くためには、2つ大切なことがあると考えています。1つは、世の中にはどんな仕事があるのか想いを馳せてみること。例えば、スマホ1つ取っても、どんな商品が売れるのかをマーケティングする人、開発をする人、作る人、工場との調整をする人、検査をする人、宣伝する人、店頭で販売をする人など、本当にたくさんの人が関わっています。夢が決まっている人は、自分が目指す分野にはどんな仕事があるのかを考えてみる。まだなりたい職業が決まっていない人は、自分の好きなことについて考え、それはどんな仕事につながっているのかに想いを馳せ、たくさんの選択肢を作ってほしいな、と思います。

もう1つは、自分を知ることです。それは、自分の持ち味と価値観です。これらは、自分に向き合ってみないと分かりません。これからの人生で、「選択する」場面に出くわす時、「自分が何を大切にしたいからそうするのか」ということを意識してみてください。自分の好き、嫌い、長所や短所、印象に残っている出来事を思い出しながら、なぜそれがうれしかったのか、あるいは悲しかったのかを考えてみる。

「どうして?」と問い続ければ、きっと自分が見えてくるはずです。


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日本の学生が自由に就職先を選択することが難しかった時代。リクルートは、「学生の選択肢を増やしたい」という想いで創業しました。それから約60年。時代や環境が変わっても、私たちの根本の想いは変わりません。今回のオンライン面談が、参加してくれた子どもたちの未来につながるきっかけとなりますように。今後もさまざまな形で取り組みを続けていく予定です。

※肩書、担当業務などは取材当時(2020年10月)のものです。

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