見出し画像

リアルの価値が高まる時代に備える――オカムラ・ワークデザイン研究所

オフィス家具の製造・販売を中心に、より良い働く場を提案してきた株式会社オカムラ。同社の中で、オフィスという場所だけでなく、「働き方」そのものを考え、具現化することが求められるようになってきた現代、これからの働き方の研究を続けているのが「ワークデザイン研究所」です。

今回は、株式会社オカムラ・ワークデザイン研究所(以下、オカムラ)のチーフリサーチャー・池田晃一さんが考える“これからの働き方とオフィスのカタチ”をお話しいただきました。

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。本記事では、過去の放送の中から、株式会社オカムラ・ワークデザイン研究所チーフリサーチャーの池田晃一さんが考える“これからの働き方とオフィスのカタチ”をご紹介します。

オカムラはオフィス家具メーカーでありながら、1980年に「オフィス総合研究所」を立ち上げ、オフィスづくりを通して“働く空間”の改善を長年支援してきました。2015年からは、働き方や働く場をさまざまなステークホルダーと一緒に考えていく「WORK MILL(ワークミル)」という活動も開始しました。

企業の働き方に関する研究やコンサルティングも行うワークデザイン研究所。今回、コロナ禍で最も大きな働き方の変化といえるテレワークの浸透について、会社以外の場所でも働ける意識の変化は起きたが、自分が望まない状況で出社率を下げるためにテレワークをすることも多いのが現状。真の意味での柔軟な働き方へのステップアップが、今後の課題と分析しています。

画像2

また、テレワークの浸透と共に増えたのが“オンライン会議”ですが、ワークデザイン研究所の調査によると、テレワーク導入当初は減ってしまった会議の回数は、時間の経過と共に回復。今ではオンライン会議が当たり前になりつつある現状があるようです。

オンライン会議のメリット・デメリットについて伺うと、メリットとしては在宅勤務であれば会議室をおさえなくてもいいこと。移動時間やコストも削減できること。会議に集まる人数も必要最低限になるという分析もあるようです。相手との“間合い”が分かりにくかったり、リアルとオンラインを合わせた会議では温度差が生まれてしまうといったデメリットもあるようです。

オンラインでのコミュニケーションで注目したいのが「コミュニケーション貯金」という考え方だとか。コミュニケーション貯金は長年、密にコミュニケーションをとってきた関係に生まれるものと言います。

お互いのことをよく知っている間柄でのリモートワークは、コミュニケーション貯金を切り崩して使っている状態なのだとか。また、新入社員などはコミュニケーション貯金がない状態なので、コミュニケーションにより一層、気を配る必要があるということです。これからはリアルの場所で交流を深めてコミュニケーション貯金をため、それをオンラインのコミュニケーションに生かす――。そんなことが必要になってくるようです。

テレワークの浸透によってオンラインでできる仕事が増えていく中、今後、リアルに人と会って仕事をする機会は減っていくかもしれません。それでは人が集まらないと生まれないものとは何なのか? 池田さんは認知心理学の世界で「We Mode」と呼ばれる「私たち」という感覚だと話します。

例えるならば、二人で机を運ぶとき、互いに準備ができた状態で「よっこいしょ」という感覚。そこに至るまでの過程がオンラインにはないのだそう。オンラインだとこの“私たち”という感覚が芽生えにくいそう。同席する人やその場の雰囲気に触発されたり、相手に先回りして行動してあげたり、空間をともにすることで相手のタイミングを推し量り、その過程で協力関係が生まれていくことがリアルの価値と言えそうです。

画像1

それでは、リアルとオンラインのすみ分けはどのようにしていけばいいのでしょうか? 池田さんによると、事務処理のようにやり方が決まっていて、ゴールが見えやすい仕事などはリモートの方がはかどり、意思決定、交渉をする、アイデアを出し合うなどは圧倒的にリアルに集まる方がはかどるということが分かっているとか。何をリアルで、何をオンラインでやった方がはかどるのか、自分たちの組織に当てはめて検討することが大切です。

テレワークの浸透により、オフィスに行く機会が減る中、議論されるようになったのが、 「オフィス不要論」や「オフィス縮小論」です。これに対して、オフィス環境をデザインしてきたオカムラ・ワークデザイン研究所の池田さんは、コロナの心配がなくなったアフターコロナの状況になったとき、どれくらいの割合の人がオフィスに行くのかはまだ分からない。 リモートワークと出社の併用で働く場合、オフィスを縮小するのではなく、今にプラスした方がいいことがあるかもしれない、と考えているようです。

例えば、たくさんの人が集まって対面で行う会議は減るので大きな会議室は減らす。一方でオンライン会議のためのブースや個室を作るなど、会議室の機能の組み換えをしたり、リアルな雑談などの価値が高まるので、オフィスの中のフォーマルな場を減らし、カフェやラウンジ、社員食堂など今までなかった空間にしていくことも必要になったりするのではないかということです。

画像3

4日間にわたってご紹介した株式会社オカムラ・ワークデザイン研究所 チーフリサーチャーの池田晃一さんのお話から番組が導き出した「WORK SHIFT」のヒントは・・・『リアルの価値が高まる時代に備えよう!』でした。

リアルの代替としてのオンラインという状況から、オンラインでしかできないこと、リアルでしかできないことも見えてくる。人と人がリアルに働くことができるオフィスはその“価値を高める場所”へと変化していきそうです。

***

■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

世の中のイノベーティブな「働き方」を朝の時間にお届け!『RECRUIT THE WORK SHIFT』(J-WAVE 81.3FM)は月曜日から木曜日まで、毎朝6:15ごろよりオンエア中です。
▼J-WAVE番組サイトはこちら
https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/quote/index.html
▼これまでの記事はこちら
https://antenna.jp/articles/5248566


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!