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選び、選ばれる関係が、ポジティブなチカラを生む――さくら構造

さくら構造株式会社は、国内トップクラスの構造技術者数を誇り、 超高層、制震・免震技術を保有する全国対応可能な数少ない構造設計事務所です。社員数は80人。北海道札幌市に本社を構え、全国6カ所に事業所・営業所を展開、「ドラゴンマネジメント」や「上司選択制度」など、独自のマネジメント手法で社員の満足度を高めています。

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「新しい働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。本記事は、過去の放送の中から、構造設計事務所「さくら構造株式会社」の取り組みをご紹介します。

父親の包容力と母親の優しさで仲間を救う!?

建物の基礎や骨組みを設計する建築の中の“構造設計”という分野。さくら構造はその分野で、実績においても、技術者の数においても、全国でトップクラスの会社です。しかし、建築業界の人材不足は深刻で、さくら構造においても、社員の満足度を高めながら、成長をサポートしていくマネジメントの重要性が意識されてきました。

そんなさくら構造のマネジメント手法に貫かれているのが「ドラゴンマネジメント」と呼ばれる考え方。さくら構造株式会社、代表取締役の田中真一さんによると、「ドラゴンマネジメント」は、田中さんが若手社員と働くときに大事にしてきたことを言語化したもの。

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さくら構造株式会社 代表取締役・田中真一さん

テクニカル・マネジメントとウェルビーイング・マネジメントという2つの柱で出来上がっており、テクニカル・マネジメントは、若手社員が担当するプロジェクトが進まなくなってしまったときに、上司主導で組んだサポートチームがプロジェクトを何とかまとめ上げるというもの。ウェルビーイング・マネジメントは、社員に精神的、社会的な少々のおせっかいを焼く=時には社員のプライベートな悩みまで気にかけるというものです。

例えるなら前者は、ピンチになったら助けてくれる“お父さん”のようなマネジメントで、後者は、いつも子どものことを気にかけてくれる“お母さん”のようなマネジメントなのだそうです。

「ドラゴンマネジメント」に代表されるように、さくら構造がチームや仲間を意識する背景には、“構造設計”という仕事ならではの特徴があるようです。

田中さんは、「構造設計はある意味一人でやろうと思えばできてしまう職種なんです。だから“孤立化”しやすいという側面もあります。個々の状況が仕事の結果につながりやすい職種だからこそ、余計にチームプレーとか仲間との関わりを意識して取り組まないといけないと考えています」と、話します。

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社員満足度向上の切り札「上司選択制度」

そんなさくら構造が、社員の満足度を高めるべく取り入れたのが、“上司選択制度”です。

この制度がスタートすることになったきっかけは、上司と部下の相性が良くない、いわゆるミスマッチが原因で、社員が退職をするという出来事があったこと。どこの会社にもありそうな問題ですが、上司から徒弟制度的に学ばなければならないことが多い“構造設計”の業界では、ミスマッチが社員の大きなストレスになり、辞めてしまうケースも少なくないそうです。

そんな理由から始まった“上司選択制度”、どのように運用されているのか。

田中さんに伺うと、「新入社員が入る前の3月に、既存の社員に働きたい上司を選ぶアンケートを取るんです。基本的には社員の第一希望のままで、いったんチームをつくります。その後、新入社員が入ってきたら、班のバランスを見て、配置を決めていきます。心配だったのはまだ一緒に働いたことがない上司の能力や性格は、部下には分からないこと。なので、全上司の能力・性格マニュアルのようなものを作って、苦手なところも得意なところも全部書いて、それを社員に配った上で、アンケートに答えてもらいました」とのこと。

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そんな上司選択制度を取り入れた1年目は、「人気のある上司」の部署に社員が異動した結果、設計部に7つあった班のうち1つが消滅してしまったということですが、田中さんは「この一件で、会社としては、組織の在り方や管理職のポジション、処遇について、改めて考えさせられることになりました」と言います。

上司選択制度は、選ばれる上司にとってはプレッシャーになりますが、社員に選んでもらえるようにマネジメントを学び直す良い機会になります。同時に、社員側としても、“チームを変える”、“上司を変える”というクッションが用意されたことで、いきなり退職という最終選択をしなくても済みます。

これ以外にも、自分で選んだ上司だからという責任感が社員に芽生えたり、上司の不満を言う頻度が減ったりするなど、さまざまな良い変化が起こっているそうです。

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社員が行きたくなるオフィスづくりが始まった!

建築物の構造設計を行うエンジニアの社員を多く抱えるさくら構造では、エンジニアの技術力や人間性、熱意などを総合評価する「エンジニアリングシップ指数」という評価軸があり、この指数が高い社員を対象に、建設業界では初めてという「週休2.5日」制度を導入しました。

技術や経験のあるエキスパートならではの多忙さがあるという構造設計の業界の現実をマネジメントの力で解消するための取り組みと言えそうです。

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独自のマネジメント手法で社員の満足度を高めてきたさくら構造。

田中さんに、今後の社員の働き方と会社としての目標について伺うと、「コロナ禍で在宅勤務が増えたことでコミュニケーションの頻度が減り、社員が大切にしている価値観の共有が難しくなったという側面もありました。でも、だからと言って、コミュニケーションを増やすために社員に出社をお願いするというのも違うと思います。結局、社員自ら出社したくなるような場所をつくればいいんですよね。だから今、社員が出社したくなるようなオフィスをつくろう!ということで、自由な意見を募っているところです。『さくらビレッジ(新本社名称)新築プロジェクト』と言うのですが、これが直近の目標です」ということでした。

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さくら構造株式会社の取り組みから導き出す「WORK SHIFT」のヒントは・・・『選び、選ばれる関係が、ポジティブなチカラを生む』でした。

上司選択制度を導入することで、上司の適材適所が実現したのに加え、部下の満足度と仕事への向上心も高まったというさくら構造。選択の自由と責任がある組織には、前向きなチカラが宿るのではないでしょうか。

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■「RECRUIT THE WORK SHIFT」バックナンバー

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