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空前の大ブーム、タピオカの次にくるのは…バナナ??

リクルートで働くその道のプロが「仕事探し」や「学び方」「美容」や「食」といった様々なテーマの最新トレンドについて語るポッドキャスト番組『トレンドランナー』。第十話は「食の最新トレンド」。ホットペッパーグルメ外食総研研究員をゲストに迎え、後編は「バナナブーム」について聞きました。

※本記事は2020年3月に収録、テキスト化したものです

藤井:リクルートがお送りするポッドキャスト「トレンドランナー」。今回はホットペッパーグルメ外食総研から有木真理さんをお迎えしております。よろしくお願いいたします。

有木:よろしくお願いします。


じわじわ広がるバナナブームの兆し

八角:今回、有木さんに解説していただくテーマは「バナナブーム」です。

有木:実は今、バナナの消費量が伸びていると言われています。

総務省が出しているデータによると、生産果実全体の消費量は少し落ちている傾向の中でバナナはこの24~25年で1.4倍くらい伸びています。バナナ1本をだいたい150gと考えると、1人あたり年間12本くらい消費量が伸びているということになります。…あまりイメージが沸かないですよね?

藤井:年間12本ですか!

有木:そうです。月に1本くらい増えているんですね。

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藤井:ほかの果実が伸びていない中でバナナが増えているのはなぜでしょうか?

有木:今バナナ界にはおもしろい現象が起こっています。ひとつは、バナナジュース専門店が東京を中心に全国各地に増えてきています。最南端の沖縄にまで店舗があります。

藤井:全国にバナナジュース専門店が広がりつつあると。

八角:実は今日、番組の方から専門店のバナナジュースをご用意しておりますので、ぜひ感想をお願いします。

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藤井:トレンドランナーいいですね。だんだんリアルな体験ができるようになってきましたね。

有木:藤井さん、急いで飲んでください!バナナジュースには賞味期限が決まっていて、なんと20分なんです。

藤井:おっと。そんなに短い…!

あ、すごい濃厚ですね。タピオカドリンクのような太いストローじゃないと吸えないくらい濃厚で、むちゃくちゃおいしいです。八角さんどうですか?

八角:バナナをそのまま食べている感じというか、重い感じですね。

有木:バナナとごく少量の牛乳しか使っていないので、ぽってり濃厚なんですね。吸うのが大変だと思いますが、バナナそのものの味を楽しんでもらうために牛乳をちょっとだけ入れています。

1本2000円?多様化する最近のバナナ事情

藤井:バナナというお手軽なイメージのフルーツが専門店になるということは…、高級なものもあったりするんですか?

有木:そうですね。バナナってすごく安く手に入る印象がありますよね。駅にあるジュース専門店で売っているジュースって100円から200円くらいかと思うんですが、それに比べるとバナナジュース専門店では400円から600円程度と結構なお値段です。

賞味期限が20分というのも…、バナナって皮をむくまでは日持ちするんですが、むくとすぐに変色して香りも変わってしまう。鮮度が良くておいしい状態で楽しんでもらいたいので、賞味期限20分にしてごく少量の牛乳でバナナそのものの味を楽しんでいただくということですね。

専門店というのはブームになる特徴のひとつです。外食業界は競争が激しい中で一点特化にして専門店にすることで話題性も生まれ、バナナジュースを飲むなら絶対バナナジュース専門店!というように他店との差別化も図れます。温度管理・品質管理を徹底しているお店もあるみたいですよ。

藤井:まるでワイン!だからこそ400~600円でも、買う側も価値があると認めているんですね。実際フラペチーノやサードウェーブコーヒー、タピオカなど結構いいお値段でも皆さん買いますもんね。

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有木:そうですね。今バナナ界で起こっている現象のもうひとつがまさに高級化でして、バナナジュース専門店だけではなく、バナナそのものが高級化してきています。

バナナの販売価格ってだいたい1本だと100円前後くらいで売っていると思いますが、高級バナナは1本800円、中には2,000円のものもあります。桐箱に入って1本で売っているバナナが出てきているんですね。

藤井:桐箱!2,000円!すごいですね。

有木:高級バナナの特徴が、皮まで食べられるという点。バナナは消費量の99%が海外からの輸入品と言われていて、今までは国産のバナナが今まで多くはありませんでした。

フルーツって皮に栄養があると言われていますが、国産バナナが出回っていくことで、バナナも皮まで食べられるものが出てきました。皮をむいて食べるのではなく、そのまま輪切りにして食べるんですよ。


今押さえておきたいバナナの歴史

藤井:なぜバナナがブームになってきたのか、歴史的にどんな変化があるのか教えてください。

有木:バナナが日本に入ってきた過程には諸説あるんですが、さかのぼると台湾から日本に持ち込まれて、希少性の高い舶来品という扱いからスタートしたようです。その後徐々にバナナの輸入量が増えてきて、日本では特別なものになり…、例えば入院した時に持っていくのがバナナになったり。

藤井:はいはい。マスクメロンみたいなイメージですかね。

有木:そうです。栄養価が高くて特別なものだから、入院をしている方にバナナを持っていくという。まさにメロンにそのポジションを奪われた、少しかわいそうな存在だったのかなと思っています。

いちごやみかん、ぶどうやりんごとか、もともと日本で収穫されていた安価なフルーツって、品種改良されて高級なものが出たり、「いちごフェア」などのブームになりました。しかし、バナナは少し出遅れ感があって、一般的に誰でも楽しめるものの、特別感のない、身近にあるけど日の目を浴びない存在した。それがここにきてブームになってきていると思います。

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その背景は、専門店ができてきたというのがひとつ。ただ、専門店ができただけではなく、ブームになってきた背景は大きく分けて3つあると思っています。

1つは効果・効能。バナナダイエットのように健康やダイエットというキーワードにヒットするものはすごくブームになりやすいんです。

バナナジュースを先ほど飲んでいただいてわかると思いますが、やっぱりスイーツ感覚で楽しめるじゃないですか。生クリームの代わりにバナナジュースを飲んでもいいかなと思うくらい。栄養価が高いだけではなく、ヘルシーなデザートとして人気になっていく、罪悪感のないスイーツということがブームの特徴かなと思っています。

2つ目は、付加価値がつけやすいこと。いろんなバラエティーを増やしていけるというのは、タピオカと一緒だと思います。今飲んでいただいているバナナジュースもオリジナルからチョコバナナ、きなこバナナまでバリエーションが増えていきます。

あとはバナナの種類によってもジュースのお値段が400円台から1,000円くらいまであるんです。小笠原の「モンキーバナナ」を使ったり、沖縄の「島バナナ」を使ったり、国産の希少価値のあるバナナを使うと1,000円近くまで上がっていくという。こういう付加価値をつけられるというのが2つ目です。

それから3つ目はまさに…お分かりですよね?


藤井:SNS、ですかね?

有木:はい、SNSです。左手にバナナジュース、右手にスマホ、ですね。写真が撮りやすいというのももちろんですし、ストーリー性もあるということ。先ほどの「賞味期限20分」や「吸えないほど固い」など見た目だけではなく伝えたいストーリーがあるというのが、ブームになっていくポイントかなと思います。


2020年、バナナの最新トレンドは?

藤井:前回のタピオカもそうでしたが、バナナにも歴史があるんですね。最後に有木さん、2020年以降バナナのトレンドはどのように展開していくのか教えてください。

有木:日本国内では、バナナはフルーツとかスイーツという扱いだと思うんですが、海外では食事にアレンジしている国がたくさんありますので、日本でも食事にアレンジして食べるシーンが増えていくということが、これから生まれていくんじゃないかなと思っています。

藤井:これから展開して定着期に入っていくかもしれないですね。

有木:そうですね。ほかのフルーツのように、高級なものが支持されていくということは、生産者さんにとってもすごくハッピーなことだと思います。

藤井:今回はホットペッパーグルメ外食総研から有木真理さんにバナナブームをテーマにお話しいただきました。ありがとうございました。

八角:ありがとうございました。

有木:ありがとうございました!

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