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"一流のおせっかい"でお客様に寄り添う。ゼクシィが「オンライン相談サービス」の開始に込めた思い

「フォトウエディングだけでいいんです」

2019年のある日、関東のとあるゼクシィ相談カウンター。どこか心を閉ざした様子のお客様はこう話します。担当したブライダルアドバイザーがさまざまな角度からお話をうかがっていくと、本当は結婚式がしたい。でも、実家の両親と仲が悪く式は挙げにくい……。そんな状況にあることを少しずつ打ち明けてくれました。

結婚式は、お客様にとって人生の中でとても大切な一日。心からのご希望を叶えるお手伝いをすることはできないだろうか――。

お客様と深くお話をする中で、そう考え抜いたブライダルアドバイザーがお伝えしたのは「ご両親に手紙を送るのはいかがでしょうか」という一言。結果的にお客様が書かれた手紙がきっかけとなってご両親と仲直りされ、お客様が本当に望んでいた形での結婚式の実現にもつながったそうです。

ウエディング関連事業を手掛ける「ゼクシィ」。その中で、お客様と対話をしながら一人ひとりのご希望に寄り添うのが、この相談カウンターです。

今年4月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、相談窓口は一時的に休業することに。そこで、ゼクシィ相談カウンタ―では急きょオンラインでの相談窓口をリリースしました。企画リーダーの高橋ゆいは、この取り組みに込めた思いについて、「結婚式はお客様にとって非常に大切な日。”コロナだからしかたない”とサービスレベルは妥協したくなかった」と語ります。

もともと「対面相談」の価値を大切にしてきたゼクシィ相談カウンターですが、4月20日にはLINEを活用した相談窓口、5月21日にはオンライン通話を用いた窓口を展開。結婚式に不安を抱える方々を一日でも早くサポートできないかと考え、できるかぎりの手を尽くしたといいます。

こだわったのは、「直接お会いするのと同じ、質の高い体験を届けること」。その取り組みの裏側を、高橋に聞きました。

店舗が休業する中、一日も早くお客様に寄り添うため

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ゼクシィは、「ゼクシィ相談カウンター」という結婚準備の段取りや結婚式場探しなどをサポートする無料の相談窓口を全国に69店舗(2020年6月末時点)展開しています。

店舗には、ウェディングプランナーなどの経験を持つブライダルアドバイザーが常駐。丁寧に向き合ってお話する中でお客様のニーズをくみ取り、一組一組のお客様に合わせた結婚式のスタイルを共に考える、対面での相談スタイルを大切にしてきたサービスです。

高橋「普段カウンターを訪れてくださる方々の9割は『ゼクシィ』本誌やWEBサイト、アプリを利用してくださっています。でも、メディア上の情報だけでは決断できず、『自分たちだけでは決められない』『プロの意見を聞いてみたい』という思いで相談にいらっしゃることが多いです。

だからこそ、カウンターに求められるのは単に情報を提供することではなく、本質的なニーズを引き出し、希望にぴったりな会場を紹介していくこと。丁寧なヒアリングが必要なため、直接お会いしてお話することが私たちにとって当たり前、欠かせないことだったんです」

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令されてから、店舗は臨時休業。やむをえない状況とはいえ、現場のメンバーも、企画側も、複雑な思いを抱えていたといいます。

高橋「結婚式といえばゼクシィと思ってくれている方、プロの意見が聞きたいと頼ってくださる方が多くいらっしゃる中、店舗が休業してお客様の不安や思いに応えられない状況が続いていることが苦しかったです。スタッフみんな、『どうにかして早く再開したい』『一日も早く不安を抱えるお客様のお役に立てないか』という気持ちで、さまざまな方法を模索しました」

この状況でも、お客様の結婚式を支えられる術はないか。そう考え準備を始めたのが、オンライン、そしてLINEを活用した相談窓口でした。

高橋「実際のカウンターに近い体験をお届けできるのは、オンライン上でお客様とお話ができるオンライン相談サービスです。しかし、サービス設計からリリースまでに時間がかかってしまうと思いました。社内のシステムレビューや制度作り、オンラインに合わせた接客の準備も必要だからです。その点、LINE相談窓口はすでに取り組んでいた『ゼクシィ カジュアルウェディング』(※)の知見をもとに、すぐサービスの提供につなげられる。

先が見通しにくいなか、一刻も早くお客様にサービスを提供するには、この2段階で進めるのがベストだと考えたんです。加えて、LINE相談では、まだ結婚式をするか考えている方やちょっとした悩みを相談したい方にも気軽に相談していただけるかもしれない。そんな新たな可能性も感じていました」

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ゼクシィカジュアルウェディング:1.5次会や会費制のような、気軽にできるパーティースタイルを紹介するサービス。気軽にご相談いただけるよう、LINEを活用した相談サービスに取り組んでいた。

大切にしたのは、お客様のストレスがいかに少ないか

続けて5月にリリースしたオンライン相談サービスは、LINEと比較してより対面のカウンターに近く、お客様の希望を深堀りしながら提案ができるもの。設計にあたり高橋が最も優先したのは、“いかにストレスなく利用してもらえるか”でした。その考えの背景には、リクルートの新規事業提案制度「Ring」を活用して、新規事業の立ち上げに取り組んだ経験があります。

高橋が社外の友人とともに構想した「発達障害児童の両親に向けた、療育をサポートする動画サービス」は、アイデア自体は評価を得たものの、実証実験を経て、事業化を諦める結論にいたったのです。

高橋「療育サービス自体にニーズはあったのですが、お客様への負担が大きかったんです。動画を見て学んだ内容を続けてくださる方は、お子さんにも良い変化が見られるということが分かっていました。

でも、毎日続けるのは、日々育児や仕事と向き合う両親にとって負担が大きい。そのため、『プロに任せたい』というニーズのほうが多く、広く受け入れられるサービスにはなりませんでした」

この経験から、高橋は「どんなにニーズがあるサービスでも、お客様に負荷を強いる形では成立しないと学んだ」と語ります。そのため、オンライン相談サービスを展開するにあたり、「価値を感じていただくため、いかにお客様の負担を減らせるか」という点にこだわったそうです。

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特にツールの選定には力を入れたと強調します。リリースまでのスピードも考えると、自社開発ではなく、外部ツールの活用は必須。いくつものツールを試し、アプリのインストールなど事前準備が不要な「ベルフェイス」を採用。リンクで資料を共有可能な他、音声は電話回線を使用するため、声が途切れる不具合も抑えられる点なども選定理由のひとつになりました。

高橋「これまで、お住まいが遠いといった事情で店舗に来れなかったお客様には、電話をメインに応対してきました。しかし、電話は会場の見取り図などを見せながらできず、反応も声でしかわかりません。

会場を紹介させていただいた時も、電話をした後にお客様が調べなくてはいけない状態だったんです。その点、オンライン相談なら対面とほぼ変わらない形で、お客様のお話やご希望をうかがうことができます」

一流のおせっかいで寄り添う、ブライダルアドバイザーの存在

新型コロナウイルスの感染拡大を受けてリリースした2つのサービス。お客様の期待に応えるために重要な存在が、直接やりとりをするブライダルアドバイザーです。「一流のおせっかい」を目標に掲げるブライダルアドバイザーについて、高橋は「お客様のやりたいことを全力で叶える、諦めたことも実現させたい気持ちを持つプロフェッショナル集団」と表します。

店舗が臨時休業となる中、一日も早くお客様のお役に立ちたいという強い思を募らせる一方で、当初はオンライン相談へのとまどいもありました。

そのような状況でも、「オンラインだから、ここまでのサービスしかできないと妥協したくない」「できる限り実際のカウンターと同じようにお客様に寄り添い、同じくらい質の高い体験を届けたい」。そう考え、実際にリリースするまでに、何度もオンライン接客の練習を重ねていきました。

インターネットがつながりにくい場合はどうするか、どうすればお客様の心からのご希望をうかがえるか、最適な提案ができるか……。交代でお客様の役となってロールプレイングを行い、入念な準備を進めたそうです。

高橋「オンラインの場合は、お客様の雰囲気など非言語の部分が伝わりづらい。対面よりも互いのことが分からない状態から始まるので、お客様も不安を感じやすいと思います。そのため、アイスブレイクや最初のヒアリングをより丁寧に行ったり、認識の間違いがないか細かく確認したりすることで、安心して頼っていただける雰囲気を作るよう、工夫を重ねていきました」

こうした取り組みを積み重ねた結果、事後アンケートの満足度は、来店したお客様に比べ、オンライン相談を利用したお客様の方が高かったそう。高橋は「ロールプレイングなどの準備や、丁寧なコミュニケーションを徹底した結果として『信頼できる』と感じていただけたのでは」と振り返ります。

一人ひとりの「やりたい」を形に。最高の一日となる結婚式を

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(取材は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンラインで実施)

6月から対面での相談業務も再開していますが、ゼクシィではLINE相談と、オンライン相談ともに今後も継続していくことが決まりました。オンラインでのメリットを生かしつつ、「見え方や機能を改善し、お客様にとって最適な形を追及したい」と高橋は語ります。

高橋「結婚式をするかしないか、親族だけ、友人だけ、二人だけ、または写真を撮るだけなど、結婚のあり方は今後もますます多様化すると思います。ビジネス的な観点を考えると、結婚式の予定が決まっているお客様とだけ向き合った方がいいかもしれません。

ただ、私たちはさまざまなニーズを叶え、『すべての結婚式を応援したい』と考え、日々仕事に取り組んでいます。「結婚式といえばゼクシィ」と思ってくださる多くのお客様のために、『これを求めていた』と言ってもらえるようなサービスを、提供し続けたいんです」

事業化には至らなかった発達障害児の両親のための動画サービスも、本業の傍らNPOの形で続けている高橋。自分の経験を活かし、誰かの役に立てること、喜んでもらえることに取り組みたい。そんな思いで、ゼクシィのチームやブライダルアドバイザーと一丸となり、試行錯誤を続けています。

※事業内容や所属などは取材時のものです。

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