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問いに問いを重ね、働くことの「本質」を見つめ直す――哲学博士・吉田幸司

J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

8月31日~9月3日の放送では、日本初の哲学コンサルティング企業、クロス・フィロソフィーズの代表で哲学博士の吉田幸司さんに、世界が注目する“哲学を生かした働き方”について伺いました。

いま、多くの世界的企業で、哲学的な知見や思考法をビジネスや組織運営に応用する動きが急速に広まっています。

欧米では企業内に専属の哲学者を抱える企業も出始めている中、2017年に日本で初めて「哲学」を事業内容にかかげて起業した吉田幸司さん。 哲学とビジネスの架け橋として、コンサルティングやワークショップ、セミナーを開催するなど幅広く活動されています。最初にビジネスに哲学なのか」を伺うと、キーワードに出てきたのが、「VUCA(ブーカ)」という言葉でした。

Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧さ)の頭文字をとったVUCA。現代は社会環境の複雑性が増し、次々と想定外の出来事が起こる時代。そんな中で、自分たちの存在の意味や本質を問う「哲学」の注目が高まっているということでした。

今までのフレームワークで解決しきれなかったビジネス課題を哲学的アプローチで考える。吉田さんはこれを「哲学シンキング」と呼んでいます。

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哲学シンキングのプロセスとしては、ステップ0が場の設計。すべての参加者がフラットな関係で対話ができる準備をします。その上で、ステップ1として「問いを集める」ことをします。“答え”ではなく、問いを集めることから始めるそうです。ステップ2として、出た問いをいくつかのグループに分けます。ステップ3では、ステップ2で分類した問いのグループそれぞれについて対話します。ステップ4では、すべての議論を俯瞰的に振り返ります。

哲学シンキングでは、すぐに答えを求めず、「なぜ」「どうして」と問いに問いを重ねることで、固定的な観念や体系を破壊し、根本的な課題の解決や、斬新なアイデアを成果として得られるようにデザインされています。

哲学をビジネスに活かす独自の思考法を打ち出し、日本の大手企業からも注目されている 吉田さんのクロス・フィロソフィーズ。ビジネスの現場に哲学を導入する方法を多くの人に知ってもらうため、ビジネスパーソン向けのワークショップも多数手がけています。

ワークショップは、マーケティングリサーチや組織開発といったビジネスパーソンが抱える様々な課題を、哲学シンキングに沿って考えるそうです。 参加したビジネスパーソンからは、「見えないものを言語化する以上の価値がある」 「新たな仮説を得る近道だった」といった評価を得ているそうです。

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“ゼロイチを作る”といわれる時代ですが、吉田さんは人間が無から何かを作ることはできないと考えます。そうではなく、問いを深めて2つ以上の視点から深掘る、もともとあった関係を解体したうえで、もう一度つなぎ合わせて再構築することで、新たな発見や成果につなげられると話しました。

欧米で広がる哲学コンサルティングは、企業の経営理念の構築や、倫理規定、コンプライアンスの策定といった経営レベルのものが多いのに対して、日本の場合はコンセプトメイキングやマーケティングリサーチ、人材育成など、実用レベルの依頼を受けることが多いという吉田さん。

哲学シンキングのワークショップを人材育成、社員教育に活かしたケースについて伺ってみると、次のように答えてくれました。

「“女性の活躍”というテーマで哲学シンキングをすると、『そもそも女性の活躍とはなんなのか?』という問いが浮かんでくる。そうすると、上の世代の人たちは『出世欲や積極性を持ってほしい』と思っているのに対して、下の若い世代の女性たちからは、『女性の活躍を男性と同じようにとらえている』とか『女性を男性化しようとしている』という声が聞こえてきました。上司側は自分たち世代の当たり前の価値観に沿って、良かれと思って教育しようとしていたのですが、若い世代とは前提である価値観から実は“すれ違い”が起きていた。そんなこともワークショップを通して分かりましたね」

会社を成長させたい、社員にも成長してもらいたい、その想いは間違っていないのですが、 どのように成長したいか、そのアプローチが違っていることも哲学シンキングで見つけることができるようです。

こういったアプローチは人材育成だけでなく、会社自体や商品、サービスのビジョンを共有することにも役立つそうです。分かっていたつもりのものを深掘りし、共有することで、関わっているメンバーのチカラが最大化されるという利点もあるようです。

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答えを押しつけることではなく、答えの見えない問いと向きあうチカラを持つことが大切だという吉田さん。持ち込まれた課題に対していきなり答えを出そうとせず、そもそもの課題についても問いを重ねることから始めると、課題設定から間違っていることも多いとか。

「どうすれば成功できるか?」から「なぜ成功しなくてはならないのか」「そもそも成功とは何か」といったように、より根本的な問題へと問いを重ねていく哲学シンキング。その過程で先入観が取り除かれたり、より本音が引き出され、働く環境にも良い結果につながったこともあるようです。

働くことの本質を見つめ直し、一生の強みになる「思考力」を身につけるため、吉田さんは「誰かに価値観を決めつけられるのではなく、自分自身で生き方を見つめ直す、他者と対話することが大事だと思います。その際、答えを出すことではなく、まず問いを出し、適切に課題を設定してみる。それがその奥にある本質の発見につながる近道だと思います」と語りました。

4日間にわたって紹介したクロス・フィロソフィーズ代表、吉田幸司さんの哲学を生かした働き方への取り組みから、番組が導き出した「WORK SHIFT」のヒントは『問いに問いを重ね、本質をつかみ取ろう!』でした。

複雑性の増した時代、分かったつもりでいること、他人と同じと思っていること、あらゆることに問いを投げかけることで、その奥にある本質をつかみ取ることが、今求められているのでしょう。

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