三重県伊勢市に位置する「三重県南部自動車学校（以下、南部自動車学校）」は、1962年に開校し、来年で60周年を迎える自動車学校です。

同校が8年前からスタートさせた「ほめちぎる教習」が話題となり、少子化時代にもかかわらず受講生が急増。それに伴い規模も拡大し、現在、指導員60名、内勤者20名を抱える自動車学校となっています。そして、この「ほめちぎる教習」は受講生に対する指導だけでなく、職場の雰囲気も変えることとなったそうです。

J-WAVE（81.3FM）の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。本記事は、3月22～25日に放送された、働く人が主人公となるACTIONを応援するプロジェクトに贈られる、第7回「GOOD ACTIONアワード」で「ワークスタイルイノベーション賞」を受賞した、三重県南部自動車学校のアプローチをご紹介します。

「ほめちぎる教習」に至るまでに

南部自動車学校が行う「ほめちぎる教習」の基本は、ほめるだけでなく、そのさらに上を行く、とにかくできている部分を「ほめちぎる」こと。できていないところや、間違った部分を指摘する指導が多い教習所業界において、南部自動車学校は「できることをさらに伸ばす」という指導法を採っているんだそうです。この指導法は、車離れが進んでいる上、叱られることに慣れていない世代を、指導する難しさに直面したことから生まれたと言います。そしてこの指導法は、指導員のストレス軽減にもつながっているそうです。

そんな「ほめちぎる教習」ですが、当初は社員のほとんどがほめることに慣れておらず、4カ月にわたって、徹底的に「ほめる」ことを癖付ける研修が行われたそう。一般社団法人 日本ほめる達人協会が提供する資格試験「ほめ達！」検定を、みんなで取得し毎朝行われる朝礼で、とにかく同僚や他の社員をほめ合うことを行ったようです。

そうしたことを続けていくうちに、1カ月ほどで社員たちはほめの達人「ほめ達」となり、徐々に職場の雰囲気にも変化があったとのこと。1対1の受講生と指導員とのコミュニケーションが希薄だったという南部自動車学校ですが、これらのほめ研修により職場の雰囲気も格段によくなり、社員たちの意識改革にもつながったそうです。

ほめることが生み出す効果とは

およそ60名いる指導員たちは、世代も性別もバラバラ。20代から70代のベテランまでが在籍しており、世代間のギャップもかなりあったようです。ですが、ほめる技術を学ぶことで、指導員同士でも話しかけやすくなったり、相手の長所を発見することで見方も変わったりしたと言います。また教習業務においては、受講生・卒業生たちの運転免許の検定合格率も10％アップし、その後の事故率も4分の1に減ったという効果も現れているそうです。

気持ちよく会話が弾み、コミュニケーションの改善にもつながったという「ほめちぎる教習」。ほめ方のアドバイスは、ほめワード・3Sの「すごい」「さすが」「素晴らしい」を活用すること！　そして、ほめるポイントを見つける前に、まずこの3Sを伝える。その後、瞬時にほめるポイントを探すのがコツなんだそうです。

安心・安全な基地となるような職場づくり

このようにしてほめる技術を鍛えることで、全社員がほめる達人「ほめ達」になったという南部自動車学校。「ほめちぎる教習」の副産物として、職場環境が大幅に改善しました。

これらの取り組みが、第7回「GOOD ACTIONアワード」の「ワークスタイルイノベーション賞」の受賞につながりました。
南部自動車学校の代表・加藤光一さんは、働きやすい職場について「安心・安全な基地」と話されていました。職場は、安心できて安全な場所でなければならない。ほめることで相手の長所を伸ばし、心を通わせることで、安心・安全につながると考えているそうです。

加藤光一さん

ご紹介した南部自動車学校の取り組みから、番組が導き出した「WORK SHIFT」のヒントは・・・『叱るよりもほめて伸ばすアプローチで、受講生や同僚の心もゲットしよう』でした。

「ほめることは認め合うこと」。認められているという安心感によって、職場の雰囲気も劇的に変化したという南部自動車学校。自動車教習の指導法としてスタートした「ほめちぎる」アプローチが思わぬ副産物となって、よい効果を生み出したようです。

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