
働き方改革の先に「働きがい」がなければ、イノベーションにはつながらない――大和証券グループ
総合証券会社として幅広い金融サービスを提供する「大和証券グループ」。その社員数は、海外も含めて約1万6,000人。中核子会社の「大和証券株式会社」単体では9,000名強、男女比は55:45となっているそうです。
本社人事部の堀江香織さんによれば、「働き方改革」への取り組みはかなり早く、2005年から女性活躍推進の取り組みを本格的にスタートさせたとのことです。
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、さまざまな企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。本記事では、過去の放送の中から、大和証券グループの取り組みをご紹介します。
当時は、結婚や出産で女性がキャリアを中断するという方が世の中でも多かった時代でしたが、「ライフイベントがあってもキャリアを継続できる環境の整備が必要」ということで、さまざまな制度を導入したそうです。
また、共働き家庭が増えていることを背景に、「子育てをしながら男女共に働き続けるためには『ワークライフバランス』が当たり前にならなければならない」と、2007年に「19時前退社」をスタートしています。
当初は「こんなの無理」という声がたくさんあったそうですが、「これが全社員のワークライフバランスにつながる」ということをトップが繰り返し語り、陣頭指揮をとって進めていったことで、徐々に浸透していきました。
堀江さんが入社した2008年、「19時前退社」はすでに浸透しており、遅くまで働いた経験はないそうです。セールスカンパニーとして結果が求められるため、以前はトップダウンで進んでいく部分があったと言います。3年前から、営業推進の体制をトップダウンからボトムアップに180度切り替えたことで、会社の文化が変わる転換点になったと言います。
2日目は、「働き方改革」に取り組んだ背景について伺いました。
同社の企業理念の一つである「人材の重視」。これは「競争力の源泉は人材である」「社員一人ひとりの創造性を重視し、チャレンジ精神あふれる自由闊達な社風を育み、社員の能力、貢献を正しく評価する」というものです。
社員一人ひとりのモチベーションを最大限に高めることが、お客様の満足度の向上や株主価値の向上につながるという考えから、社員が「働きがい」を感じると共に家族・関係者がグループの一員であることを誇らしく思ってもらえる会社を目指して施策を進めていると言います。
また、金融商品という目に見えない商品を扱っており、人が競争力の源泉となることから、社員が誇りを持って良い仕事をしたいと思わないとお客様にクオリティーの高いサービスを提供できません。つまり、社員のモチベーションを高めることが、お客様の満足度の向上につながっていくわけです。
3日目は同社ならではの、社員の育成や研修について伺いました。
まず、45歳以上のベテラン社員について2015年に導入した「ライセンス認定制度」。これは、自己研鑽や資格取得でスキル向上を実現している社員を優遇するなどの特別な権利を付与するもの。45歳からどれだけ自己研鑽したかが、認定には重要な要素となります。ある程度経験のある社員が自己研鑽に励む姿を若手社員が見ることで、相乗効果が生まれているそうです。
若手社員については、基礎教育期間として入社後2年間は「ダイワベーシックプログラム」を実施する他、奨学金の返済金を無利子で貸し付けするという「奨学金返済サポート制度」も実施しています。
さらに、必須のプログラムの他、選択型プログラムも多数。自立的なキャリア形成をしてもらうため、自分が選択して身に付けるもので、eラーニングや資格の費用補助、英語に特化したプログラムなど、目指したい将来のキャリアに必要だと思う要素を選択して受講できます。
また、多摩の研修センターには、研修中に子どもを預けるベビーサロンがあり、宿泊も可能。育児中の社員のサポートも行っているそうです。
最終日は、コロナ禍の中でのテレワークへの対応について伺いました。
2019年冬ごろから、ロケーションフリーで会社と同じ仕事がどこでもできるというコンセプトで2in1端末を導入し、2月いっぱいで全社員への配布が完了。もともと4月からはオリンピック、パラリンピック対応でテレワークを拡充する予定だったのが、1カ月前倒しとなったわけです。
社員の健康管理という面では、「ダイワオンラインケア」としてオンライン診療を開始。通院や待ち時間がなく医師の診察が可能で、薬も自宅に郵送してくれるため、忙しい社員も受診しやすいようになっています。
これまでの「働き方改革」について堀江さんは、「まずは働きやすさに取り組む企業が多いですが、その先に『働きがい』がないと、仕事にチャレンジしたり、お客様のために付加価値の高い業務にチャレンジしたりという気持ち、イノベーションというところにつながっていきません」と語ります。
また、採用面接を受ける学生さんが「御社の社員は皆さん親身になって、『うちの会社、すごくいいよ』と本当に思って話してくれるのが分かる」と言ってくれるそう。「自分もそういう社員になりたい」と、会社を好きになって入社してくれる人が多いとのことで、外からもそういう目で見てくれる会社になっているのではないか、と語っていただきました。
今週のお話から導き出す「WORK SHIFTのヒント」は、『働き方改革で働きがいを!』。
「働きやすさ」はもちろん、その先にある「働きがい」が、業績アップにもつながっているようです。
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