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83%が取得した男性育休という”選択”。 “夫婦” と “企業” にもたらす変化とは

園の送迎はパパ。オムツ交換、抱っこ紐もお手のもの。街でみかける風景でも、”男性の育児参加”は当たり前になりつつあります。
一方で、日本の男性育児休業取得率は、わずか6.16%(厚生労働省:平成30年度雇用均等基本調査より)。残念ながら、まだまだ当たり前とはいえない状況です。

リクルートグループのリクルートマネジメントソリューションズでは、男性の育児休暇制度”妻出産休暇”を83.3%の社員が取得し、育児、家事参加につながっています。
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同社人事担当の山科このみと、実際に育休を取得した営業職の西岡尚輝から話を聞くと、男性育休は”仕事に持ち込んで活かす、一つの社会経験”という会社の考えがありました。
取得した社員にとっても、育児や仕事にも、変化をもたらす試みであったようです。

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男性育休は”福利厚生”じゃない

―――男性の育休取得を推進している理由は?
山科:目の前の仕事だけでなく、”多様な社会経験を持つこと”を応援したいためです。育児に限らず、介護や大学院での学び直し、NPOなどの地域活動参加など、社員が仕事を通じて多様な社会経験を活かし、お客様へのより良い価値提供につなげていくため、取り組みを続けてきたことが背景にあります。
“妻出産休暇”は、多様な経験を後押しするための一つの手段であり、同時に自社の男性社員が育休を取ることで、その先にいる奥様が働きやすくなることにつながる一助だと思っています。ちょっと間接的ではありますが笑

―――福利厚生を充実させたい、ということではなく、業務をする上で重要と考えたということでしょうか?
山科:そうですね。若い世代の従業員やクライアントも、働くことの価値観はますます多様化しています。社会全体としても、残業は減らし業務効率を上げるよう期待されています。
働く人の気持ち・組織の両方で考えても、目の前の業務だけに邁進しがちな”従来のままの組織“では、中長期では立ちゆかなくなるという危機感がありました。

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“フルコミット”できる社員は減っていく

山科:企業として想定するのは“育児”だけではありません。今後社員の年齢が上がり、40代、50代の社員が増えると、その親御さんの高齢化が進みます。介護に携わる社員も当然増えていきます。仕事100%の“フルコミット”な人が減ってくると、柔軟な働き方を叶えることは、会社としても必須なことになってきます。
当社では育児や介護をしながら働くことのシミュレーションを作り、マネジャーたちに共有するなど、管理職の意識改革から始めていきました。

男女問わず、誰が休んでも業務できるように

山科:今、当社の経営陣は40代です。この世代は、パパが育児に参加することが当たり前になってきた世代です。自分が保育園の送迎を担当したり、家庭の時間を大切にしたいと自ら行動してきた経験があります。
活躍する若手社員の中でも、未婚・子なしの時期には100%業務に“フルコミット”をしたいが、子どもが生まれたら働き方は変えたい、と公言する人もいます。男女問わず、誰が休んでもうまくいくようにしていくのは、多様な人が活躍する上で必要不可欠なことだと考えています。

2018年9月に第一子が生まれた際、17日間の妻出産休暇を取得した西岡には、”育休のリアル”を教えてもらいました。

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“夫婦二人でスタートラインに立てた”ことがうれしい

―――当初から育休を取る計画でしたか?
西岡:取得したいなと思っていました。転職してリクルートグループに入社したきっかけの一つも、家族の時間を大切にしたいという想いからでしたし、妻からも希望がありました。
妻と一緒に育休を取った男性会社員さんが経験を綴るブログを見たり。経験者ブログなどのリアルな発信はイメージしやすかったですね。僕の経験も、どなたかの行動のきっかけになったらいいなと思っています。

―――周囲の反応はどうでしたか?
西岡:取得すると伝えて、ネガティブな反応をされたことはありませんでした。上司は「取らないの?」と先に声を掛けてくれましたし、お客様についても否定的な言葉はもらっていません。居ない間の引継ぎについては、もちろん安心して頂けるよう、慎重に取り組みました。

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―――赤ちゃんとの生活、実際のところいかがでしたか?
西岡:大きかったのは、初めての育児という経験を”夫婦で一緒にスタートラインに立てた “ことです。途中から自分が入るのではなく、当事者として最初から育児に関わるため、妻のお手伝いではなく“担当者”になり、妻から”頼られる”状態になります。
お風呂に入れるにも、男性は手が大きく、赤ちゃんを抱えやすいですし、育児の中で男性が向いている役割があると感じます。寝かしつけまでの役割分担など、言われなくてもアイコンタクトで動くことができてきますし、妻から信頼された感があります。

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妻出産休暇後は段取り力が上がり、業務の効率化ができた

―――育休後、仕事の仕方で変化はありましたか?
西岡:これは、かなりありました。引継ぎにあたり、仕事が滞らないように自分の業務進捗を全て一覧にしていたんですが、この業務見える化がきっかけで、自分の仕事のクセをふりかえる機会になり、業務の効率化ができました。

―――これから取得したいという人には、どんなメッセージを送りますか?
西岡:仕事において”自分がいないと”と感じること、あると思います。でもそれは、引継ぎをしっかりすれば業務上の課題は解決できるのではないでしょうか。
子どもを迎え、夫婦の関係性が変わるタイミングに育休を取ることができ、家族の基盤が作れる喜びは大きい、と伝えたいです。

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あくまで、育休を”選択”できることが大切

―――とはいえ、”そうはいっても取りたくても取れない”切実な声は多いと思います。
山科:個人から声を挙げることは、たしかに難しいです。ただ、当たり前に家族と関わりたい、NPOなど業務とは別の社外活動もしたいといったことは、今後若い世代を中心に勤め先に対し、期待してくる事項になってくると思います。
企業にとっても、多様な従業員を生かすための土壌をつくることが、戦略推進、採用、リテンションに直結することを認識し、選ばれる企業であるために積極的に取り組むという意識をもつことが大切ではないでしょうか。

西岡:同世代をみても、多様な働き方の選択肢が広がっていると思います。親世代がモーレツに働いた結果、定年後に何も残っていないように見えるのもあります。
仕事ができる優秀な若手でも、”仕事だけってカッコ悪い”という価値観が生まれています。ちょっと前なら考えられないですよね。

山科:リクルートマネジメントソリューションズの妻出産休暇では、制度として”選択できること”が大切だと思っています。出産から20日間有休が付与されますが、1年以内であれば1日単位で取得することもできます。家族の都合で柔軟に休む日を選べます。

取得するかしないかも、本人と家族の選択です。
”夫は育休取らなくていい、取っても困る”なんていう妻の声もあります。男性社員が利用できる有給の育児休暇がない場合、収入が減る不安があります。
また、家事の分担をどうしたいか?というのは、ご夫婦によっても価値観が異なりますよね。あくまでご本人達が判断できるよう、男性の育休という選択肢を用意することが良いのではないでしょうか。

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育児の”当たり前”、多様な人の活躍が”当たり前”に。

昨今、著名人の”男性育休”が大きな話題になっています。”産後の妻を支える”、“新しい家族を迎えることを喜びあえる”という賛成の声、”妻の負担が返って増える”、”一部の人しか取れない”といった反対の声。そこには様々な賛否が集まります。

家庭ごとの考えの違いがある前提で、”選べる”こと。仕組みを用意する上で大切な考え方かもしれません。
冒頭に戻ると、世の中の” 男性の育児休業”取得率はわずか6%です。まだまだ取得まで大きなカベを感じやすいのが現状です。しかし、実際育児にがっぷり四つに組むことができたら、”大切な経験を持てた”と感じる子育て世代の声も、きっともっと多くなるはずです。

リクルートマネジメントソリューションズの取り組みは、わずかな一歩かもしれません。
それでも、新しい家族を迎える時に、パートナーと一緒に家族を育んでいけるように。育児の”当たり前”、多様な人が活躍することの”当たり前”につながるヒントとなれたら幸いです。


※本文中に登場する育休・男性育休は、育児休業と育児目的の休暇の両方の略称としてご紹介しています

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