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コロナ禍で私たちの住まいはどう変わる?SUUMO編集長に聞いてみた

リクルートで働くその道のプロが「仕事探し」や「学び方」「美容」や「食」といった様々なテーマの最新トレンドについて語る番組『トレンドランナー』。第十一話のテーマは「住まいの最新トレンド」。リクルート住まいカンパニー SUUMO編集長をゲストに迎え、前編は「コロナ禍で変わる私たちの住まい」について聞きました。

藤井:リクルートがお送りするポッドキャスト「トレンドランナー」。今回はリクルート住まいカンパニー、SUUMO編集長の池本洋一さんをお迎えしております。よろしくお願いいたします。

池本:よろしくお願いします。

藤井:まずは池本さんが所属している部署や活動について教えてください。

池本:私が所属しているのは、リクルート住まいカンパニーです。SUUMOという住まい探しのメディアを発行しておりまして、Web、雑誌・情報誌とSUUMOカウンターという直接対面で相談できるチャネルで家を借りたい人や家を建てたい人、買いたい人たちのお手伝いをさせていただいています。

トレンドランナー収録_04_池本さん

SUUMO編集長 池本洋一

藤井:そんなリクルート住まいカンパニーで、池本さんがどんな仕事をされているのかご紹介いただけますか?

池本:SUUMOの編集長をしております。自分たちのメディアからだけではなく、テレビや新聞といった様々な場で住まいや街に関する解説や、「こんなトレンドがあるよ!」という情報を発信する仕事をしています。

藤井:池本さんに伺うテーマは、「コロナ禍で変わる私たちの住まい」。まずは、SUUMOが発表した2020年のトレンドキーワード「職住融合」について教えてください。

職住融合の潮流

池本:「職住融合」を発表したのは2020年1月です。簡単にいうと「テレワークを前提とした家選び、街選びという潮流がこれから起こってくるよ」というトレンド予測を出しました。

テレワークが進むことによって、家の間取りがどう変わっていくのか、あるいはテレワーク前提だと会社に通う頻度が減ることや家と職場とはまた別のところで働いたりする場所ができることによって、街づくりにも変化が起きるんじゃないかということを提案しています。

藤井:それがコロナ禍でより加速したというか…、結果的にそういった変化がやってきたという感じですね。

池本:そうなんです。感覚的には3年後に実現するかな?と思っていた変化が、すでに2、3ヶ月で現れてきている感覚です。

藤井:僕らもテレワークをしていますよ。八角さんも今テレワークで職と住が融合しているんじゃないですか?

八角:かなり境目が曖昧になってきている感覚がありますね。

テレワーク実態調査から見えてきたこと

藤井:職と住が融合しているといろんな人たちの働き方や住まいが変わっていく、ということですが、もうひとつ池本さんにご紹介いただきたいのは、SUUMOが先日発表した「テレワークの実態調査」です。これはどういった調査なんでしょうか?

池本:職住融合を発表するにあたり、2019年11月にテレワークと住まいの実態調査を行いました。コロナ禍前の調査データが取れていたので、実際にどんな変化が起きたのか、4月に再度調査を行いました。

藤井:その変化で興味深かったポイントはどんなことでしょうか?

池本:変化の1点目は、もともとテレワークをやっていた人たちが10数%しかいなかったのが、4月には47%になっていました。

藤井:躍進激増ですね…!

トレンドランナー収録_03_藤井さん

リクルート 藤井薫

池本:さらに、テレワークによって、実際に不満も出てきていることが明らかになりました。例えば、「部屋が狭い」「テレワーク専用のスペースが無い」といった回答があって…、結構苦労されているような答えが出ています。

藤井:そもそもテレワークを想定していない部屋や家だったので、環境が不足しているということを感じる人が多いということですね。

池本:そうですね、今後住み替えたい住宅の希望条件として1番多かったのは「とにかく部屋数の多い家に住み替えたい」で40%でした。

その次に多いのが「リビングは広くして、個室は狭くしてもいいから数を増やしたい」。ここ、実は1番ニーズが強くあるんじゃないかなと思っています。

やはり、快適なリビングに、在宅時間が長くなれば家族が集まる時間も増えてきますし、リビングは狭くしたくないんだろうと思います。

一方で、部屋数が無いと、お子さんも在宅でオンライン授業を受けたりすることになると、4人家族だと4つに部屋を分けないとできない。でも、実際はそんなに部屋を確保するほど広さが無いよねという話になった時に、今までとは違う、2畳、3畳のお部屋という概念も出てくるかもしれないです。

藤井:コロナ禍によって、住まい選びの条件が変わってきた感じなんでしょうか?

池本:まさに、そうですね。

テレワークだからこそ気になるあの問題

池本:あと、もうひとつの興味深かった結果は、今後のテレワーク継続意向です。1番高かったのが、「働いている時間の30%から50%は在宅でしたい」というニーズだったんですね。

「ずっとテレワーク」というよりは、「ケースによってテレワークと出勤と使い分けたい」が、現実的には多いことも分かってきました。

藤井:これ、池本さんの予想通りの分布だったんですか?

池本:もう少し“完全テレワーク”の人が多いのかな?と思っていましたが、今のままだと在宅は厳しいということもあり、今回の結果になったのかなと思っています。

実際に検索エンジンで「騒音」の検索ボリュームを調べてみたところ、4月で1.5~1.6倍に跳ね上がっていて、賃貸の管理会社からも去年と比べてクレームが倍ぐらいに増えているんだそうです。

クレームのほとんどが、騒音だとおっしゃっています。普段、家にいなかった方々が在宅になって、初めて家の遮音性に気づいた方が多くて、広さだけじゃなくて快適性へのニーズも、顕在化しました。

藤井:「テレビ会議でお客さんと会話していたら余計気になる」という方も多いんでしょうねぇ。

池本:はい。実際、「このままテレワークが続くとしたら引越ししたいですか」といった質問に対して、24%の人が「引越ししたい」と答えています。

賃貸だと30%が「引越ししたい」と回答しています。賃貸の方はどうしても集合住宅である確率が高いし、音や狭さの問題を感じやすいんだと思います。

コロナ禍で「景気が先行き不透明だから家を探すのやめようかな」という流れで、減るのかなって思っていましたが、コロナによって住まい探しを始めるという人が、結構な数いらっしゃいました。

SUUMOのログデータを見ても、サイトのページビューでは去年と比べて、1.5倍くらい見られていたり、お問い合わせの数も1.2~1.3倍増えています。

藤井:なるほど。職住融合するなかで、職と住はリモートで融合する一方、家の中では空間を分けたいというのが、住まいの兆しに現れているんですね。

池本:そうですね。

藤井:次回は、「街選びの仕方」を伺っていきたいと思います。池本さんありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

池本:よろしくお願いします!

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